- 最終更新日: 2023.01.27
- 公開日:2023.01.27
CGMはマーケティングに変革をもたらすのか?~ユーザーが投稿する情報の集合体がメディアとなる~
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2022年に日本のスマートフォン所有率が94%を超えました。今や老若男女問わず誰もがインターネットを介してコンテンツに触れています。テレビメディアが主流だった時代と比較しても、双方向――インタラクティブなやりとりが容易になり、誰もがSNSを通して自らの意見や思いを全世界に発信できる時代が到来しています。
その急激な時代の変化の中で生まれたのがCGMというマーケティング用語です。
こちらの記事ではCGMの意味と重要度について解説していきたいと思います。
目次
CGMってどういう意味?
CGMはConsumer Generated Mediaの頭文字から取られています。Consumer Generated Media(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)はそのものの意味を捉えれば、「消費者が生み出すメディア」のことを指します。
では「消費者が生み出すメディア」とは一体なんなのでしょうか?
わかりやすいことばで言い換えれば、いわゆるWebメディアにかき込まれた「口コミ」や「コメント」のことを指します。
CGMと似た言葉
CGMに似ている言葉としてUGM(User Generated Media)があります。これはUserとConsumerの違いがあるだけでCGMとほぼ同じ意味で使われます。
それ以外にはUGC(User Generated Content)が挙げられます。直訳すると「ユーザーが生み出すコンテンツ」です。これはCGC(Consumer Generated Content)と同じ意味で使われます。これはCGMやUGMと非常によく似ていますが厳密には違います。
例えばYoutubeなどの動画投稿サイトはその運営主体の企業が動画を投稿するのではなく、そのサイトに登録したユーザーがコンテンツを発信し、その集合体がサイト全体を作り出します。つまりユーザーが動画を投稿しなければコンテンツはなく、ただ動画を投稿できる機能のみが存在することになります。これらサービスのユーザーそれぞれが投稿するコンテンツがUGCまたはCGCであり、その集合体がCGMです。例えると以下のようになります。
- ・ユーザーが投稿した動画…UGC
- ・投稿についたコメント…UGC
- ・ユーザーに投稿されたコンテンツにあふれる動画投稿サイト…CGM
いわゆるプラットフォーム型サービスに見られる特徴であり、サイト運営者はユーザーがコンテンツ投稿に白熱するように仕掛け、コンテンツの消費者と作成者両方を獲得します。人が集まるプラットフォームは人と広告主を惹きつけ、そのメディアはさらに強大になっていくのです。
また、マーケティングでCGMを利用する際は単純に「口コミ」や「レビュー」などユーザーの評価のことを指す場合がありますが、それらはUGCと同義的であり、その違いは曖昧です。厳密には上述の違いがありますので知っておくと混乱しないで済みます。
CGMの最小構成単位UGCはどんな種類がある?
上述の通りUGCが集まるのがCGMです。ユーザーがワイワイとレビューやコンテンツを投稿する集合場所がCGMだと考えればイメージしやすいでしょう。
UGCはどこから生み出されるのでしょうか。
まずは当然「商品やサービスを利用したユーザー」です。ビジネスにおけるUGCは商品やサービスに対する広告の役割を担います。好意的なレビューがCGMを席捲すれば評判はさらなる評判を呼びあなたのビジネスにいい影響を与えるでしょう。
次に「あなたのブランドのファン」です。これは先ほどのユーザーと比べてあなたのビジネスにより近い存在です。インターネットの世界では「信者」などと呼ばれます。ブランドのファンはあなたがたのビジネスの動向をチェックし、その素晴らしさを喧伝してくれます。もちろんファンは盲目的ではなく、支持者であるがゆえに厳しい目を向けています。彼らの期待を裏切らないものを出すことが出来れば、商品やサービスの初動に大きな影響を与えてくれるでしょう。
最後にEGC(Employee-generated content )です。日本ではあまり一般的ではありませんが、例えば商品の作成過程や、梱包などの作業風景などを従業員が投稿することで開発者が消費者の近くにいることを表現し、ブランドの信頼性をあげたり、個性を 確立したりすることに役立ちます。Consumerではありませんがこれも広義の意味ではUGCと扱います。
まとめるとUGCは企業が、市場の向こうにいるユーザーに宣伝するのとは反対に、商品を見つめる顧客に対し隣の顧客が商品の評判を教えてあげる行為です。UGCの持つ最も大切な価値は、「ユーザーと情報との距離の近さ」なのです。
UGCについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
CGMマーケティングとインフルエンサーマーケティング
マーケティングは消費者の消費行動に伴い変化し続けています。その中でマーケターはソーシャルメディアでのユーザー発信の影響力が、製品及びサービスの売り込みに利用できることに着目します。また、そうして生まれた手法としてインフルエンサーマーケティングがあります。Youtubeなどのプロモーション動画といえばわかりやすいでしょうか。それらのインフルエンサーマーケティングと違い、CGMマーケティングは費用対効果が高いです。インフルエンサーには商品や金銭を渡さなければなりませんが、CGMマーケティングは実質無料です。
勿論、それらを活性化させる為の基盤整備や施策に費用がかかる可能性はありますが、直接的に費用が発生するインフルエンサーマーケティングよりはやはりローコストです。
ただしインフルエンサーマーケティングはコントロールが可能であり、事前に効果の期待値をある程度計算しやすいというメリットがあります。また依頼するインフルエンサーと商材の相性が良かった場合、その効果は倍増します。場合によって使い分けたり、同時に行ったりする判断が必要となるでしょう。
CGMと信頼性
商品の購入に対する意思決定は様々な場面で行われます。特に実店舗ではなくECサイトで購入する機会が増えた現代では、商品やサービスを提供する側の紹介文を鵜呑みにして購入することは不安を覚えます。返品対応なども行えますが、ユーザーはそういったロスもなく気持ちのいい買い物をしたいのです。そこでCGMの存在が重要になってきます。とくにCGMには良いレビューもあれば悪いレビューもあります。安い商品がどうして安いのか、高いサービスのどこが特徴なのか、自分の支払いたい対価と享受する価値の折り合いが付けばユーザーは購入を決定するでしょう。
ではまったくレビューがない商品はどうでしょう? 出品経験が少ない出店者からの購入は刺激的で楽しい行為でしょうか?
勇気のあるユーザーはともかく、少なくとも購入を迷っているユーザーはそれらを選ばないでしょう。ですからCGMはブランドと顧客を近づけるだけでなく、ビジネスを長く安定的に続けているというユーザーに対して証明する商品やサービスの信頼なのです。
良いものに評判は後からついてくるものですが、あなたのビジネスが常にユーザーの話題の中心にあるとは限りません。ですから普段からCGMマーケティングを意識して、ユーザーの(出来れば肯定的な)意見をたくさん投稿してもらうような施策を実行しましょう。ユーザーはそれらを俯瞰して眺めて購入を決定します。
UGC プラットフォームであるStacklaの発表によるとユーザーが販売者がもたらす商品やサービスの情報が真実の情報であると感じているのは51%と約半分です。一方でマーケット担当者の92%が、自らが発する情報が真実であると信じています。
そして、消費者はブランドが生成したコンテンツと比較して、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が本物であると考える可能性が2.4倍も高いという調査結果も出ています。
このようにブランドの発信と消費者の間にはギャップがあり、これらが埋まらない間は少なくとも、ユーザーはCGMの情報を信じ続けるでしょう。このようにユーザーの購入の意思決定に対してCGMにある情報というのは大きな影響力を持っています。
参考:businesswire:
https://www.businesswire.com/news/home/20190220005302/en/Stackla-Survey-Reveals-Disconnect-Content-Consumers-Marketers
CGMが商品がどのように生活に溶け込むかを教えてくれる
気に入った商品を買ったものの、思ったより大きかった(小さかった)などのサイズの問題から始まり、色身の違いや、想像もしなかった要素でネガティブな印象を持ってしまうケースがあります。そういった不安を埋めるためにCGMが大いに参考になります。部屋に実際にある写真や、それを利用している生活空間の動画投稿などが、商品が自分の家にある時のイメージを補ってくれます。
そして、時にはメーカーが想像しないような使用方法が広がるケースもあります。最近では動画レビューも多く、ユーザーは信頼を置けるレビュアーをフォローし内容を参考に購入を決めています。企業側がレビュー投稿者にインフルエンサーマーケティングを依頼する現象もよく見かけるようになってきました。
CGMとEコマースの未来
今でもレビュアーがアフィリエイトリンクと呼ばれるチャネルに誘導するURLをレビューに表記しますが、ゆくゆくはCGMとEコマースが融合され、UGCと商品購入が直結するのが期待されています。CGMとEコマースが融合すれば、例えばSNSの投稿写真の商品部分をタップするとそのままSNS上で商品購入が完結するような仕組みをつくることができます。このような未来が到達すればもはやCGMとECサイトの壁が取り払われ、生活に溶け込んだEコマースが実現できるようになります。
CGMの具体例
- ・Youtube 動画投稿サイト、及びそのコメント欄
- ※twitchなどの配信サイトはCGMとは違います。
- ・食べログ飲食店 店舗訪問者のレビュー
- ・クックパッド レシピ投稿サイト、及びそのコメント欄
- ・楽天やAmazonなどの商品のレビュー
- ・NewsPicksのニュースにかき込まれたコメント欄
- ・旅行ポータルサイトでの宿のレビュー
CGMマーケティングの注意点
これまでCGMマーケティングの良いことばかり解説してきましたが、リスクも当然あります。
まず一つは、CGMはコントロールできないものだということです。例えばユーザーの間に誤解が広まってそれが真実のように出まわってしまったら、いくら公式が否定しても意味をなしません。また、CGMをコントロールしようとするあまり、ステルスマーケティングをしてしまうと発覚した際にユーザーからの信頼を失ってしまいます。
そしてCGMはあまりに生々しい評価であるという点です。商品やサービスにはユーザーからの厳しいチェックが入りますし、例えば一部の不良品やミスが拡大してレビューされてしまうとブランドのイメージを大きく損なってしまいます。CGMは強いエネルギーを持ち、ビジネスに大きく役立ちますが、反面、ネガティブな方向に働くと大きな痛手を受けます。
ですので近代では、仮にCGMマーケティングをする気がなくともCGMのことを念頭にビジネスを展開する必要がありますし、リリースの後はUGCの動向に気を配らなければなりません。
まとめ
UGCを獲得するためには、商品の販売の段階から施策を実行していかなければなりません。ブランドを確立するために時間がかかるように、CGMマーケティングは一朝一夕でできるものではありません。CGMマーケティングはECに限らずあらゆるビジネスにおいて重要ですので商品の企画の段階から計画に組み込んで行くことが大切です。