- 最終更新日: 2022.04.06
- 公開日:2022.04.06
フルフィルメントとは?ECサイト全盛期の現代に求められる円滑でストレスフリーな物流業務
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ECサイトや通販の利用拡大により注目度が高まった「フルフィルメント」。この記事ではフルフィルメントの意味や意義を解説していきます
目次
フルフィルメントとは?
フルフィルメント(fulfillment)は本来、「実行」や「達成」を意味する英単語です。日本では、英語圏におけるオーダーフルフィルメント(order fulfillment)のことをフルフィルメントと呼ぶ慣習が出来上がっています。
オーダーフルフィルメントとは「企業が顧客から注文を受け取ってから、実際に顧客の手に商品が渡るまでの間に行うすべてのプロセス」のことです。これには、コールセンター対応やクレーム処理など、商品が顧客に渡ってからのサポートも含まれます。
近年ではECサイトの利用拡大のため、効率的に、かつ品質のいいフルフィルメント事業が求められており、注目度が上がっています。
フルフィルメント業務の9ステップ
例えばECサイトで商品が顧客に届くまでには、一体どのような業務が必要になるでしょうか?
フルフィルメント業務は捉え方にもよりますが、大きく以下の9ステップに分けられます。
- 在庫の入荷・検品業務
- 在庫管理
- 受注管理
- 決済処理
- ピッキング
- 検品
- 梱包
- 発送
- 問い合わせ/クレーム対応/返品対応
以下、各ステップについて説明していきます。
【在庫の入荷・検品業務】
商品を倉庫に入荷して在庫とします。在庫としてカウントする前に、仕入れ先から届いた商品の状態(傷や汚れなど)や、数量、種類などが実際の注文と違いがないかをチェックします。
この際、SKU(最小在庫単位)での管理を行う事により、商品の動きを把握しやすくなり、この後のステップもスムーズに行う事ができます。
SKUについては以下の記事で解説しています。
【在庫管理】
倉庫にいったいどれだけの在庫が残っていて、どれだけの受注に対応できるか、どのタイミングで発注するべきかを見極めるのが在庫管理です。
過剰な在庫は倉庫を圧迫し、税金を増大させます。また、在庫の不足はそのまま販売機会の損失に繋がります。このように在庫管理はフルフィルメント事業の中でも特に重要な部分です。受注管理システムやピッキング、発送システムと連携すればスムーズに対応することが可能になります。
【受注管理】
顧客の注文をECサイトを通じて受け付けます。注文に対してはECサイトのシステムから注文確認のメールや請求書、発送状況を知らせるための連絡を行います。また発送する商品に添付する送付状の用意も行い、受注内容から在庫管理システムから残りのピース数を照らし合わせ、場合によってはメーカーに発注をします。
この際重要となるのは、ECサイトのシステムからの注文とSKUなどの在庫管理の単位を揃えておく事です。そうする事により、在庫管理と発注処理をスムーズに連動させる事が出来るため、欠品による販売機会の損失を最小限にする事が出来ます。
【決済処理】
決済はECサイト上、または昨今はクレジットカードやAmazonなど他社のAPIを連携させた決済システムを通して顧客が選択した支払い方法で処理されます。
決済に際して、ECサイトは注文内容や金額の通知、入金確認などのフォローを顧客に送ります。
【ピッキング】
商品受注を貰ってから、伝票をもとに倉庫内の在庫を正確に取り出すことをピッキングといいます。商材によって従業員が手で取り出すものや、フォークリフトで取り出すなどピッキングの作業は様々です。
デジタルピッキングシステムなどオートメーションで管理する場合もあります。
【検品】
ピックングした商品の状態をチェックして、傷や汚れ、品質の劣化がないかを探す業務を指します。
商品に不良があった場合、消費者へと迷惑をかけてしまい、企業への信頼も失ってしまう事になるため、慎重に行われるべき業務です。
【梱包】
発送の際に、傷ついたり、鮮度が落ちたりしないように梱包します。メッセージカードや感謝状、クーポンを封入するケースもあります。商品を明ける瞬間の結果が顧客にとっての全てです。感動してもらうことで商品への印象を上げ、UGCの投稿やリピートに繋がります。
UGCについては以下の記事で解説しています。
【発送】
梱包した商品を配送します。
商品の発送状況は顧客に伝えられ、到着したら配送完了メールが顧客と事業者に送られます。
決済方法が代引きだった場合、決済はこの時に行われます。
【問い合わせ/クレーム対応/返品対応】
顧客に商品が届いたあとのアフターサービスです。問い合わせに関しては商品を買う前の顧客も含まれます。
特にECサイトについては、顧客と事業者がコミュニケーションをとれる手段が乏しかったり、わかりづらかったりします。
反対に、利用者の疑問や不満点にすぐに対応すると評価を貰いやすくなります。
以上のようにフルフィルメント業務はEC事業において非常に重要なものですが、導入や管理、作業コストも増大します。
ロジスティクスに力を入れていない企業や事業者には、社内フルフィルメントはハードルの高い内容です。
そこで便利なのがこれらの業務を委託できるフルフィルメントサービスです。
フルフィルメントサービスのメリット・デメリット
フルフィルメントサービスとは、フルフィルメント業務の委託を請け負うサービスのことを言います。
サービスの内容は様々ですが、フルフィルメント業務すべてを委託出来るものもあります。
この項ではフルフィルメントサービスを利用する際のメリットとデメリットについて解説していきます。
本当に必要な業務に集中できる
先の例のように、フルフィルメント業務は顧客に商品を届けるという重要な部分ですが、項目や気を付けるべきこと、単純な業務量などが事業者にのしかかってきます。
フルフィルメント業務を外部に委託することによって、事業の規模や社内への投資の多寡に関わらず一定以上のクオリティで商品を顧客に届けることが可能になります。そして委託によって出来た時間で、マーケティングなどの本来必要な業務に集中することが出来ます。
一定のクオリティのUXが担保される
現在において、特にECサイトなどのWEBサービスでは顧客の満足度であるUXが重視されます。
どんなに商品がよくてもそれを注文するまでの手続きや、注文してからのプロセスに不満を感じればユーザーが継続的に商品やサービスを利用するのは難しくなります。
先述のように事業規模によらず一定の品質のフルフィルメント業務を行うフルフィルメントサービスは特に通販で物やサービスを届ける時代にこそ必要度が増してきていると言えるでしょう。
変動費が増える
業務委託することによって事業の変動費が増えます。
事業規模によっては部分を自社でやることで費用を抑えることも可能ですが、連携されたシステムの全てを利用しないということは、円滑なフルフィルメント業務からは遠ざかるかも知れません。
もちろんこれは自社フルフィルメントによる固定費――従業員の雇用や設備投資などの固定費とのトレードオフなので、自らの事業においていったいどのような形態が望ましいのかを検討する必要があります。
顧客と事業者との距離が遠くなる
流通加工のようにユーザーに届く商品に関わる業務や、問い合わせなど直接やり取りするアフターサービスを委託することで顧客との距離が遠くなります。
UXの向上には日々の業務のフィードバックが欠かせません。利用するフルフィルメントサービスが、一連の業務で発生したそれぞれの問題の報告連絡や改善をどのように取り扱うかを確認するべきでしょう。
フルフィルメントと3PLは同じ意味?
フルフィルメントに似ている言葉に3PLがあります。
これはThird Party Logisticsの略で、物流の部分の業務を委託することを指します。3PL≠フルフィルメントなので混同しないように気を付けましょう。
まとめ
フルフィルメント業務は顧客のUXの源であり、ECサイトにおいてはバックヤード業務の円滑さがダイレクトにUXに変換されます。
フルフィルメント業務には高いコストが必要になりますが、フルフィルメントサービスを利用することで一定以上のクオリティのプロセスで顧客に商品やサービスを届けることが可能になります。
自社の製品が継続的に、そして幅広く利用されるためにも、一度、ご自身の事業のフルフィルメント業務がどのように行われているかを確認して、必要があればフルフィルメントサービスの利用を検討するといいでしょう。