- 最終更新日: 2022.02.17
- 公開日:2022.02.17
SKUとは?~在庫管理を制する者が事業を制する~
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ECサイトの利用者が増えたことにより、あらためて商品の在庫管理や流通のあり方が問われています。とくに商品が利用者の希望通りの日時に届けられるかどうかは、ECサイトの評価を大きく左右するようになりました。そこで今回は、この
目次
SKUとは
SKUは「ストック・キーピング・ユニット(Stock Keeping Unit)」の略で、在庫管理の最小単位を意味します。これだけだとよくわからないと思いますので、実際の例で説明していきます。
例を通して理解する商品の種類とSKU
例えばあなたがTシャツを販売する事業に携わっていたとします。Tシャツのガラは「A」「B」と印字された2種類。つまり、この事業では2種類の「アイテム」を管理する必要があります
在庫はアイテム1種類につき90着で、2アイテム合計で180着。さらに1種類のアイテムにつき色は「赤」「青」の2色です。そして、それぞれの色に対してサイズは「S」「M」「L」の3種類が存在しています。ひと月の営業を経て「A」「B」の在庫は180着から残り100着になりました。
ここで質問ですが、あなたはTシャツを何種類管理しているでしょうか?
この「種類」という言葉が曲者で、日常的に使われる言葉ではありますが、商品管理においては誤解を招く表現でもあります。たとえば上記の例でいえば柄は2種類、さらに色が2種類、そしてサイズも3種類あります。
営業が終わってひと月たったあと在庫の発注をかけるとして、どのアイテムがいくら売れて、そしてどれだけ残っているのかを把握する必要があります。
そのために便利なのが「SKU」――在庫管理の最小単位という考え方なのです。
上記の例では管理されるべきSKUは以下の通りです。
- ・Tシャツ 「A」「赤」「S」
- ・Tシャツ 「A」「赤」「M」
- ・Tシャツ 「A」「赤」「L」
- ・Tシャツ 「A」「青」「S」
- ・Tシャツ 「A」「青」「M」
- ・Tシャツ 「A」「青」「L」
- ・Tシャツ 「B」「赤」「S」
- ・Tシャツ 「B」「赤」「M」
- ・Tシャツ 「B」「赤」「L」
- ・Tシャツ 「B」「青」「S」
- ・Tシャツ 「B」「青」「M」
- ・Tシャツ 「B」「青」「L」
2(柄)×2(色)×3(サイズ)=12通りのアイテムがあります。これがSKUです。つまり、あなたは「12SKU」の商品を管理する必要があるのです。
事業初めに存在していたTシャツは180着なので、これをSKUで表現すると「2アイテム12SKU180ピースの商品を管理している」となります。これは「12種類、180点の商品を管理している」と同義ですが、前述のとおり表現の混同を避けるためにSKUが使用されます。
セット販売はどうカウントする?
さて、あなたは思い付きで「Tシャツ全種類をひとまとめにしたセット」を販売したいと考えました。12SKUが1ピースずつ袋にまとめられ、「Tシャツ全種類をひとまとめにしたセット」です。
ここで問題です。
この場合、このセットの中にあるそれぞれのTシャツは上記の12SKUの在庫としてカウントされるでしょうか?
正解は「されない」です。
12種類のTシャツは、セットとして袋にパッケージングされた段階でそれぞれのピースが一点ずつ在庫から減り、あらたに「Tシャツ全種類をひとまとめにしたセット」というSKUが一つ増え、さらにそのSKUのピースが1になります。つまり、セット販売を開始した時点で13SKUになるのです。
このようにセットになった商品は、それ自体をひとつのSKUとしてカウントしますので、バラバラにした時に違うSKUの商品になったとしても関係ありません。
「在庫管理の最小単位」という言葉のせいで混同しがちですが、SKUはあくまで「ユーザーが購入する商品の1単位」として覚えておけば間違いないでしょう。
SKUとJANコード
JANコードとは、「Japanese Article Numberコード」の略で、国際的に使われる「European Article Numberコード(EANコード)」の日本規格です。一般的にはよく見かけるバーコードで管理されています。これは「どの事業者のどの商品」かを13桁、あるいは8桁の数字で管理する、世界共通の規格です。
SKUとJANコードは似て非なるもので、SKU=JANとして管理している会社もあれば、SKUを会社独自のコードとして商品を管理している会社もあります。
JANコードにはSKU管理のための必要な情報が入っています。このJANコードとSKUという概念が流通や在庫管理の段階においてスムーズな物流を支えており、業者はJANコードを読み取ることで商品の流れをリアルタイムに把握することができます。
SKUがなぜ重要なのか?
SKUにはデメリットもあります。それは管理コストが増大するということです。
SKUが増えれば増えるほど当然管理コストは増えます。例えば化粧品などは内容量や成分などの違いによってSKUは膨大な数になることが想定されます。にもかかわらずSKUでの管理が重要視されているのは、ECサイトをはじめとしたインターネット販売と相性がいいからと言えるでしょう。
SKUとフルフィルメント
SKUが注目されているのは、インターネットやスマートフォンの普及により急拡大したECサイトの利用の増加にあります。発注、検品、在庫管理、発送などを自社でやる場合でも、フルフィルメントサービスを利用する場合でも、規模が大きくなればSKUで商品を管理するのは必須になります。
事例:AmazonのFBA
AmazonにはFBAというサービスがあります。これは「Fulfillment By Amazon」の略で、ネットショップにおける発送業務を委託できるサービスです。サービスの利用者はAmazonに商品を発送することで、予想以上に手間のかかる発送業務をアウトソーシングできるため、商品開発や事業そのものに注力できるようになります。
この際に商品は出品者SKUというものを登録する必要があります。このようにSKUはフルフィルメントとは切っても切れない関係にあります。
SKUによって見えてくる商品の売れ筋
先ほどのTシャツの例で、アイテム「A」の在庫が減っていたときに、『Tシャツ 「A」「赤」「M」』は在庫が残り少ないが『Tシャツ 「A」「赤」「L」』はほとんど売れていないとします。これによってどの商品が“売れ筋”で、どの商品が“死に筋”なのかが見えてきます。
このように商品の動きを細かく分析できることは、SKUによる在庫数管理のメリットといえるでしょう。
SKUと検索性
SKUはコンピュータで在庫を管理する分にはいいのですが、仮にECサイトでSKU単位で陳列されているとすると、ユーザーには似たような商品がたくさんあるように感じます。例えば、先のTシャツがSKUごとに表示されていたら、絵柄と色が同じTシャツが3つ並ぶことになり、ユーザーにとってのUXは最悪なものになってしまいます。
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飲料品を頼むときにセット販売とバラ売りが別々に表示されたり、家電を頼むときに機能が微妙に異なる同じシリーズの商品がたくさん並ぶような事態は避けたいものです。
そこでECサイトではアイテム中心の表示をして、SKU上での細かな違いはそのアイテムページで変更できるような表示になってきています。細かく管理された商品のSKUをどのように顧客に提示するかも、SKU管理における課題の一つです。
SKUと単品管理
単品管理とは主に小売業における手法の一つで、商品を一つずつ管理した上で、実際の販売結果と照らし合わせて陳列や発注数を見直し、そしてその上で販売数がどのように変動したかを見直すというサイクルのことです。
コンビニエンスストアチェーンのセブン‐イレブンで生み出された手法であり、実際にコンビニエンスストアでは商品の種類や陳列、販売の数量について頻繁に調整しています。これも多数の商品を管理する小売業においてコンピューターで在庫が管理できるようになったからであり、ここでもSKUが重要な役割を担っています。
SKUによって別々に管理されるのは商品ごとの微妙な差異です。例えばサンドイッチの味や具材、その量など、商品の変数を設定して細かく分けて販売します。それによって何がわかるかというと、ユーザーの嗜好や、商品の陳列方法など、「どの変数が売上に作用しているか」という事実です。
サンドイッチの売上はパンの厚みかも知れませんし、マーガリンの量かもしれませんし、レタスの細かさが関係している可能性もあります。
そのように商品が持っている差異が実際の売り場でどのように扱われ、そしてどれくらい売れたかを把握することで、売れる商品に必要な要素が何なのかを把握するのが単品管理なのです。
先のTシャツの例でも、ユーザーはMではなくLを望んでいるかもしれませんし、市場のトレンドが赤よりは青の方かもしれません。同じ赤系統でも細かく違う色を用意できれば、SKU管理によって、ユーザーが真に求めている赤い色が見えてきます。
もちろんSKUが増えればコストが増えるので、闇雲に点数を増やすのは得策ではありません。自社の事業規模と相談しつつ、商品やサービスに対する戦略を立案することも重要になってきます。
まとめ
SKUは商品管理の最小単位であり、あらかじめ細かく分けることで商品の動きが把握しやすくなり、その分析に基づいて事業を展開できるようになる重要な指標です。特にネットショップでフルフィルメントを考えている人には避けては通れない概念であり、使いこなせば今の売れ筋商品、市場のトレンドやユーザーの需要を捉えられるようになるでしょう。