- 最終更新日: 2021.12.17
- 公開日:2021.12.17
UXの意味とUXに関係するその他の言葉について 〜UXデザイン、UXライティング、CX、UXとSEO〜
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目次
UX(ユーエックス)とは?
UXは「User Experience / ユーザーエクスペリエンス」の略です。日本語では「ユーザー体験」などと訳されます。
「ユーザー体験」とは、サービスを受けている時にユーザーが感じる「快・不快」と言い換えることができます。「ユーザー体験」が損なわれているサービスからは次第に人が離れていきます。
したがって、サービスを受けるユーザーにとって理想的なUXを予め想定しておき、最適な設計や調整をすることがサービスの利用率や継続率の上昇に繋がっていきます。つまりUXを考えることはマーケティングの一部だと言えるでしょう。
ではUXを担保するのは何か?
それがUIです。
UI(ユーアイ)との違いは?
UXはしばしばUIと混同されます。UIは「User Interface / ユーザーインターフェース」の略で、日本語においてUIをひと言で訳せる単語は存在しません。
UIはサービスと人とをつなぐ中間にあり、ユーザーが触れる機能のことを言います。
例えばこの記事が映し出されているブラウザや画面に配置しているボタン、リンクや画像などは全てUIです。
UIのおかげで、ただの文字列であるこの記事がわかりやすく配置され、読みやすくなっています。もしこのページが、リンクやボタンもない、ただテキストを貼っているだけならどうでしょうか。それでも読むことは出来るでしょうが、見た瞬間、「読みにくい!」と感じると思います。これはUIが悪いせいで起こる「ユーザー体験」です。
Webサービスに限らず、カフェのような実店舗ビジネスも同様で、入り口のドアノブから机に置いてあるメニュー、伝票、商品の提供の仕方、会計の時の対応など、ユーザーが触れる全てのものはUIであり、そこからユーザーが感じるものは全てUXです。
より使いやすく、よりわかりやすく、より気持ちよく。
UIを適切に設計することでUXの向上を図るのがUXデザインです。
UXデザインとは?
Webサービスで例えるなら
- ・変なところに画像リンクがあって、誤タップしてしまう。
- ・お店の営業時間を調べるためにホームページを開いたのに、どこに書いてあるのかわからない。
- ・ECサイトで誤って注文した商品をキャンセルしたいのに方法がわからない。
- ・ページが重すぎて、画面の移動が苦痛に感じる。
以上は全てUXが損なわれている状態と言えるでしょう。
UXが悪くなる原因というのは大きくわけて4つあります。
- ・操作が直感的ではない。
- ・内容が伝わっていない。
- ・ユーザーが次に何をすればいいのかわからない。
- ・欲しい刺激が気持ちのいいタイミングで受けられない。
上記の点を配慮してUXデザイナーがデザインを考えます。
したがってUXデザインは、ユーザーがサービスを利用するときに実際に起こることを想定しなければなりません。サービスインの前に、ユーザーテストを実施するなど、想定した設計通りにUXを得られているかを検証する必要があります。
そして、サービス開始後も、UXデザイナーはユーザーからのフィードバックや売上達成を見ながらUIを改善し、UXを向上させていきます。
UXデザインはサービスとユーザーとの間で決まっていきます。絶対的な正解はなく、デザインに終わりはありません。時代やユーザー層の遷移によっても変化し続けていくものです。そのためにはフィードバックをユーザーから貰い、適切に改良していく仕組み作りも必要になるでしょう。ワークスペースアナリティクスなどを利用して、ユーザーのUXを把握することがサービス向上への近道です。
以上のことを全てを含めたものがUXデザインです。
iPhoneをはじめとしたスマートフォンは直感的で操作がしやすく、慣れれば幼児でも扱えます。UXデザインを突き詰めていけば、説明なく、誰でも気持ちよく使えるサービスを作ることが可能であるという好例と言えるでしょう。
Amazonの1-Click購入はUXとマーケティングが融合した設計です。1-Click購入はAmazonにログイン購入意思がある顧客と、販売する側、両方にとって都合のいい仕組みです。誤って購入した時のためのキャンセル方法はわかりやすい場所に提示され、サービスを利用する顧客にとっても安心感のあるサービスであるという印象を与えます。
UXライティングとは?
UXライティングとは、ユーザー体験に配慮した文章の書き方や技術を指します。UXデザインにおけるUXライティングでは「書かれている文章はユーザー体験を助けているか」が重要になります。マニュアルのような説明文では正確性が求められますし、絵本のような体験を届ける場合、正しさより伝わりやすさやわかりやすさを重視します。
UXライティングはUXデザインに内包されています。長い文章や読めない言葉はそれだけでUXを損ないます。誤字脱字のチェックから始まり、漢字にするべきか、ひらがなで書く必要があるか、など実際のユーザーに配慮して文字を推敲し、吟味することがUXライティングと言えるでしょう。
UXとCX(シーエックス)
CXは「Customer Experience / カスタマーエクスペリエンス」の略で、日本語では「顧客体験」と訳すことが出来ます。
UXとCX。つまり「ユーザー体験」と「顧客体験」の違いは何でしょうか。
UXはユーザーがサービスや商材と触れあって得られる体験のことです。CXはUXも含めたそれらが顧客まで届けられる前から、届けられてからの体験を指します。購入後、どのような方法で顧客に提供されたか、届いた後のアフターフォローはどうなっているのか、というように、商材を中心に企業が顧客に与える体験すべてをCXといいます。どれだけ商材やサービスそのもののUXが良かったとしてもそれ以外のCXの部分が損なわれていれば顧客は不満を感じます。それではUXをどれだけ完璧にデザインしたとしても意味を成しません。
ですのでUXデザインだけでなくCXがどうなっているかも重要になってきます。物流やカスタマーセンターなど、アウトソーシングされがちな機能に対するチェックもCX向上のために大切な要素であると言えるでしょう。
CXを高めることで口コミなどのUGC(User Generated Contents)を増やすことが可能です。CXの向上による居心地の良さは知り合いに紹介するハードルを下げてくれます。近しい人からの実際の体験談は信頼性の高い情報となって波及します。
口コミで紹介するほどに企業の商品を評価してくれた顧客は、リピーターになる可能性が高いです。CXの向上は顧客の企業に対する信頼度を高めてくれます。サービスの継続率も増していくでしょう。
UXとCXの具体的な例
実際のUXとCXの具体例をあげてみます。
企業Aは電子レンジを開発しました。
暖め過ぎないように温度を細かく測って調整する機能に特化しており、「ワンボタンで作りたてを」をキャッチコピーに作られ、従来のものより加熱しすぎない商品として開発されました。ボタンは一つで、操作方法は直感的でわかりやすく、また、誤った使い方をしないように配置する場所を配慮されていました(UXのためのUIの配置)。
商品は大手ECサイト経由で販売され、ユーザーが買い求めやすいように配慮されていました(CXに対する配慮)。
ですが配送の仕方に問題があり、梱包が雑で傷がついていました(CXの問題)。
商品を購入した顧客からフィードバックをすぐに受けられるためにECサイトには連絡窓口が設けてあり、すぐに問題に気がついた企業Aはすぐに問題に取り組み解決しました(CXの向上)。
UXとCX、似たような言葉ですが、課題や改善するべきポイントまで混同してしまわないよう気を付けたい所です。
UXと今後のSEOについて(GoogleのCore Web VitalsとUX)
UXデザインにはSEO対策としての一面もあります。
2021年の6月Googleが「Core Web Vitals」というページエクスペリエンスの指標を、ランキングシグナルに導入しました。
その中にはユーザーがそのサイトから得られる体験、つまりUXを定量化して評価する3つの指標が組み込まれました。
・Largest Contentful Paint(LCP)
Webサイトの読み込み速度を測る指標。速いほどUXがいい。
・First Input Delay(FID)
表示されてから初めの操作までの時間を測る指標。速いほどUXがいい。
・Cumulative Layout Shift(CLS)
レイアウトが崩れている割合を図る指標。急に出てくる大きなポップアップ広告などがスコアを下げる。少ないほどUXがいい。このため今後のSEO対策ではUXについて配慮する必要性があります。
Core Web VitalsとSEOについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
EC事業者必見!Google検索の評価基準に新たな指標が追加〜2021年のSEO対策〜
まとめ
UXは「商材を通して企業がユーザーにもたらす体験」です。UXにはプロダクトに対する企業の哲学が反映しています。企業の意図とユーザーが理想とする体験のミスマッチを埋めるためにUXデザインがあります。UXの向上のために、UIを適切に配置し、ユーザーのフィードバックをいつでも受け、管理・改善する体勢を整えるまでがUXデザインと言えるでしょう。
UXを正しく届けるためにはそれ以外のCXの部分も大切です。全体的なCXが損なわれれば、商材は正しく評価されません。それは企業と顧客の双方に不本意な結果をもたらします。
UXやCXにおいて最も重要なのは、顧客の気持ちになって商材を取り扱うという視点だと言えるでしょう。