• 最終更新日: 2020.07.03
  • 公開日:2020.07.03

「D2C」で成功する秘訣は?成功事例から検証

「D2C」で成功する秘訣は?成功事例から検証
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コロナ禍の状況で、実店舗での接客など顧客接点が制限される中、ユーザーとのコミュニケーションをオンライン上で密に行える「D2C」が、再注目されています。D2C(またはDtoC)という言葉は、Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略称で、米国の小売業界で注目され、日本に入ってきた言葉ですが、日本でも自社ECサイトを立ち上げ消費者に直接販売していくD2Cを取り組む企業が増えてきています。そこで今回は実際にD2Cを取り組んでいる企業の成功事例から考察していきたいと思います。なぜ今「D2C」が必要なのか、について解説している前回のこちらの記事と併せてお読み下さい。

 

D2Cで消費者が商品を購入する理由とは?


まずはD2CのECサイトを利用する消費者アンケートの結果を見ていきたいと思います。GMOシステムコンサルティングが実施した「D2Cサービスを利用する消費者調査」によると、EC利用者がEC・通販会社の公式ECサイトを利用する理由は、1位が「欲しい商品が公式サイトにしかないから」で48.9%、2位が「クーポンやポイントの利用ができるから」で34.2%、3位が「モールより価格が安いから」で30.6%でした。

「D2Cサービスを利用する消費者調査」(対象:ECサービスを利用したことがある20〜60代の男女552人)
調査機関:GMOリサーチ(株)

クーポンやポイントサービスもD2Cに必要な要素ですが、公式サイトでしか買えない商品があることが、D2CのECサイトを利用する大きな要因になっていました。

クラフトビールをECで展開、D2Cでの差別化で成功


この戦略をメインに大きく成長したEC会社が、クラフトビールを通販などで展開する(株)ヤッホーブルーイングです。同社はクラフトビール『よなよなエール』を製造するクラフトビールメーカーで、1997年の販売を開始した『よなよなエール』が地ビールブームの追い風を受けて売上を拡大させますが、数年後にはブーム終焉とともに酒屋やスーパーでも取り扱いがなくなり、赤字に転落。その後、ECに注力し、楽天市場でトップのビールメーカーとなりました。現在はAmazonにも出店するほか、自社ECも立ち上げ、成長を続けています。

同社は自社のECサイトとECモールでの商品販売を使い分け、自社ECではセット販売などを実施し、ECモールで知名度を上げ、商品を体験してもらってから、ヘビーユーザーには自社ECで商品を購入してもらう流れを作り、成功しています。同社のように、まずは集客力が高いECモールで成長してから、自社ECを立ち上げている会社も多く、EC・通販での成功法則の1つとなっています。

「店舗ではモノを売らない」D2Cで成功


次にオーダーメイドのスーツブランド「FABRIC TOKYO」を展開する(株)FABRIC TOKYOについて紹介いたします。同社はオンライン上でオーダーメイドのビジネスウェアを注文できるサービスを展開。ECだけでなく、リアル店舗も国内で関東・関西・名古屋・福岡に合計19店出店しています。

同社の特長は、店舗では「モノを売らない店舗」をコンセプトにしていること。店舗では採寸とユーザーのコミュニケーションに特化しています。店舗では採寸や接客のみで、購入時はECと切り分けています。ECでは物足りない接客部分は店舗でカバーし、購入はECのみにして、売上目標にしばられて押し売りになりがちな店舗販売を回避しています。現在はビデオ通話によるオンライン無料相談も実施しています。

同社のケースでは、店舗とEC販売にみられがちな売上の奪い合いは存在しません。店舗は売上を気にせず、接客に注力し、EC側は販売に注力できます。店舗とECを連動させつつ、店舗では商品を販売しないというD2Cメーカーも現在は増えています。

D2Cで大手化粧品メーカー並みのブランディングに成功


続いて、ベビースキンケアでトップブランドとなっている「ALOBABY」を展開する(株)N&O Lifeの取り組みを紹介いたします。同社はECの売上が3年連続で前年比200%になるなど、急成長しているメーカーです。

同社はまずは商品開発の段階で、D2Cのユーザーを意識した強いブランディングを行ってきました。同社の創業者で社長の西口征郎氏は資生堂の出身。2013年に同社を立ち上げますが、百貨店に入居する高級感のある化粧品ブランドのように、「EC・通販ブランドの格をあげたい」という理念がありました。そして、海外展開を見据え、ゼロから徹底的に商品にこだわり、赤ちゃん向けスキンケアブランド『ALOBABY』を立ち上げ、現在は合計3ブランドを展開しています。同社のように、例えば、メンズコスメ、ヘアケア領域など、特定の領域に特化し、ブランディングを強化して成功しているD2Cの事例も、最近で目立つようになってきています。

まとめ


このように直接ユーザーとコミュニケーションを深め、ユーザーとブランド価値を高めていくD2Cが今後も求められてくるでしょう。今回ご紹介した企業以外にも、成功事例は増えてきています。課題解決のサービスなどを活用したり、D2C調査の結果や成功事例で見てきたポイントを参照に自社サービスに組み込んでみてはいかがでしょうか。

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