• 最終更新日: 2024.01.31
  • 公開日:2022.03.04

【2024最新】ECとは?基礎知識や市場規模、ECサイトの作り方や運営方法まで

【2024最新】ECとは?基礎知識や市場規模、ECサイトの作り方や運営方法まで
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日本で一般的に使われるようになった、ECという言葉がありますが、インターネットに関連する用語であることはわかるものの、正確な意味を説明できる人は多くはないかと思います。今回はそのECに関する基礎知識やECサイトの作り方から運営方法までをご紹介します。

EC(ECサイト)とは

ECとは、Electronic Commerce(電子商取引)の略称です。オンラインで商品やサービスを販売することを指し、販売するWebサイトはECサイトと呼ばれます。ECサイトの中にはAmazonや楽天市場のようなECモールのほか、自社でドメインをもって構えるECサイトなどがあります。

EC市場の動向

EC市場の動向
EC市場は、近年のオンラインショッピングの普及にともなって、とくに盛り上がっている業界です。EC市場への進出を検討中、またはEC事業を展開しているのであれば、市場規模や今後の展望などをチェックしておくのは大切です。
以下では、EC市場の動向について解説します。

国内ECの市場規模(2023年08月31日追記)

経済産業省が2023年8月に発表したデータ(日本の電子商取引市場調査 https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002.html)によると、2023年のBtoC-ECの市場規模は22.7兆円と対前年比で2.5兆円もの成長をしています。(参考:2019年19.4兆円、2020年19.3兆円、2021年20.6兆円)

BtoC-EC市場を物販系、サービス系、デジタル系の分野へと分けると、物販系分野が13.9兆円で最も市場規模が大きく、前年から5.37%の成長を遂げています。サービス系分野は市場規模が6.1兆円となっていますが、前年から32.4%もの成長をしており最も伸びた分野です。そしてデジタル系の分野ですが、こちらは2.5兆円の市場規模と最も小さく、そして前年から6.1%の低下と唯一伸び悩んでいる分野となっています。

ここから物販・サービス系は元々実店舗の比率が大きく、EC化率が低かったのですがコロナ禍を経て消費者のニーズの変化と店舗側の対応が進んだ事により大きく成長したのが伺えます。それに対してデジタル系分野はコロナ禍の最中は順調な成長をしてきていたのが、様々な制限緩和により巣篭もり需要が減った結果としてニーズの低下が起きているものと考えられます。

今後のEC業界

2020年は前年比でマイナスの結果となりましたが、2013年から2019年までの6年間においてEC市場は毎年1兆円規模で成長を続けています。まさに右肩上がりの状況です。今後、新型コロナウイルスに対するワクチン接種や新薬の開発が進めば、コロナ以前の成長を取り戻すと予想されています。CtoCやDtoCをはじめ、新たなECスタイルも生まれており、今後のEC業界はさらなる盛り上がりをみせるでしょう。

ECのメリット

ECのメリット
ECには、オンラインならではのメリットがいくつもあります。従来のオフライン販売に比べて、場所や時間に縛られにくく、スモールスタートも可能です。ユーザーの利便性を高めるだけでなく、事業者の参入障壁を低くしたのもECの功績といえるでしょう。
以下では、ECのメリットについて解説します。

世界中のユーザーをターゲットにできる

店舗型のビジネスでは、わざわざ遠くから消費者が訪れるほど人気の店舗でもない限り、商圏は店舗周辺に限定されます。しかし、オンラインで販売する場合、インターネットを利用できる環境さえあれば、ユーザーはどこでも商品を購入できます。
また、かつては海外のユーザー向けに販売するハードルは高かったものの、近年では越境ECも一般的です。越境ECモールを利用したり、越境ECに特化したECシステムを導入したりすれば、だれでもかんたんに海外に向けて商品を販売できます。

顧客データを収集しやすい

店舗型のビジネスでは顧客データを収集するのもたいへんです。POSレジやポイントカードを導入していれば、顧客情報と購入情報を結び付けられますが、データを集めるだけでもコストや工数がかかります。
しかし、ECの場合、ユーザーは購入時に配送先の情報を登録します。入力項目に性別や年齢などの情報があれば、すべての購入者の情報を得ることが可能です。
また、ECシステムの多くは分析機能を備えています。そのため、顧客データの保存だけではなく、自動で分析してグラフ化したり、傾向を把握できたりします。

事業コストを抑えられる

店舗型のビジネスでは、事業規模の成長にともなって固定費がかさみます。たとえば、店舗の家賃やスタッフの人件費などです。より大きな売上をあげるには店舗やスタッフを増やす必要がありますが、その分コストも大きくなるため、キャッシュフロー上のリスクも高まります。
一方、ECの場合にかかる固定費は、ECサイトの運営や保守にかかる費用のみです。大規模なシステムを構築していると月間数十万円ほどかかりますが、多くのECサイトは月額10万円未満で運営できます。
また、近年ではBASEやSTORESをはじめとする無料のカートASPもあるため、店舗型のビジネスと比較するとコスト面で非常に有利といえるでしょう。

ECのデメリット

ECのデメリット
ECには、オンラインならではのメリットがあるのと同様に、デメリットも存在します。実店舗とは異なるノウハウが求められるほか、初期の集客が難しい点などもデメリットとなるでしょう。リスクを抑えつつ、スモールスタートできるビジネスモデルではありますが、デメリットを知らずにはじめてしまうと失敗しやすくなります。
以下では、ECのデメリットについて解説します。

Webに関するノウハウが求められる

ECサイトの構築や運営には、Webに関するノウハウが必要です。商品やサービスを販売する点においては実店舗と同様ですが、求められるスキルや知識はまったく異なります。
たとえば、ECサイトのデザインを実装するにはHTMLやCSSの知識が必須です。さらに、商品を販売するには、撮影や編集の技術、セールスライティングのノウハウも求められます。
また、ECサイトを構築するだけではユーザーからのアクセスは望めません。SEOやSNS運用、広告配信などWebマーケティングをはじめとする集客ノウハウも併せて必要となります。
運営業務を社内でまかなえない場合は、部分的にアウトソーシングしたり、コンサルティングを受けたりする必要があるでしょう。

価格競争になりやすい

ECの場合、ユーザーはスマートフォン一つでかんたんに商品を比較できます。そのため、実店舗型のビジネスに比べて、価格競争に巻き込まれやすくなります。デザインや性能がほとんど変わらないならば、もっとも安いものを購入したいと考えるのが消費者心理です。
価格競争に巻き込まれないようにするには、独自の付加価値をつけることがポイントです。多くの加盟店があるポイントプログラムを導入したり、ブランディングに注力したりと、価格以外の部分で購入のきっかけをつくるとよいでしょう。
とくに「ここでしか買えない」商品を展開できれば、価格競争に巻き込まれにくく非常に有利になります。

軌道に乗るまでに時間がかかる

ECは実店舗に比べて、初期の集客が難しい傾向があります。ある程度、認知を拡大できればそれほど差はありませんが、はじめはECサイトに訪れるユーザーがほとんどいない状態です。そのため、SNSでの情報発発信やWeb広告の出稿によって流入を確保しないと、売上をあげられません。
また、SNSやSEO経由でユーザーを獲得するにも、フォロワーやドメインパワーが必須です。いずれも一朝一夕にして得られるものではないため、ビジネスが軌道に乗るまでには時間を要するでしょう。

ECの4大ビジネスモデル

ECの4大ビジネスモデル
ECには、主なビジネスモデルが4つあります。それぞれのビジネスモデルは、売り手と買い手の属性、販売方法によって区分されています。4つのビジネスモデルの違いは、ECを理解するうえで必要不可欠です。
以下では、ECの4大ビジネスモデルについて解説します。

BtoB(Business to Business)

BtoB(Business to Business)とは、法人が法人に対して、商品やサービスを販売するビジネスモデルです。原材料や部品、企業向けソフトウェアの販売などがBtoBにあたります。BtoBの派生形として、一般消費者向けの商品を卸すビジネスモデルはBtoBtoCとも呼ばれます。

BtoC(Business to Consumer)

BtoC(Business to Consumer)とは、法人が個人に対して、商品やサービスを販売するビジネスモデルです。一般消費者向けの日用品やアパレルの販売などがBtoCにあたります。BtoBに比べて単価が低いため、流通総額では及ばないものの、その分多くの顧客を相手にサービスを提供します。

CtoC(Customer to Customer)

CtoC(Customer to Customer)とは、個人が個人に対して、商品やサービスを販売するビジネスモデルです。フリマアプリのメルカリ、オークションアプリのヤフオクなどがCtoCにあたります。シェアリングエコノミーが注目される中、CtoCで商品を販売できるプラットフォームも増えています。

DtoC(Direct to Customer)

DtoC(Direct to Customer)とは、法人が個人に対して、自社の商品やサービスを直接販売するビジネスモデルです。製造から販売までを一貫して実施するのが最大の特徴で、たとえばメーカーが自社の商品を直販するケースはDtoCにあたります。仲介業者を挟まないため、マージンがかからない分、低価格で良質な商品を提供できるうえ、消費者と直接コミュニケーションをとれる点がメリットです。

ECプラットフォームとは?ECサイトの種類について

ECプラットフォームとは?ECサイトの種類について
ECプラットフォームとは、ECサイトを構築するためのシステムです。主なECプラットフォームには、以下の5つがあります。

  • ・ECモール
  • ・カートASP
  • ・オープンソース
  • ・パッケージ
  • ・クラウドEC
  • ・フルスクラッチ

構築方法によってメリットやデメリット、かかる費用は異なります。そのため、ECサイトの構築をする前に、要件や予算をもとに、どの方法が適しているかを検討することが大切です。
以下では、それぞれの方法について解説します。

ECモール

ECモールとは、さまざまなブランドが出品できるECプラットフォームです。代表的なECモールには、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなどがあります。
プラットフォームに既存のユーザーがいるため、集客力に長けている一方、競合商品と比較されやすいデメリットもあります。とくに価格面の比較は非常に多く、価格競争の中で戦っていくのか、独自の付加価値を提供して価格競争をさけて運営するのか事前によく検討しておいた方がよいです。
自社ECサイトを構築する場合でも、ローンチ直後に認知拡大を図るうえでECモールを併用するのも効果的です。

楽天市場

楽天市場は国内におけるECモールの代表格です。出店型のECモールとも呼ばれており、楽天市場内にショップページを作成して商品を販売できます。1億人以上の会員がいる楽天グループが運営しているため、ユーザーからの信頼感も高く、購入する熱量の高いユーザーが多い点が特徴です。
出店プランは1年契約となっており、月額料金のほか、システム利用料やシステム利用料や楽天ペイ利用料などがかかります。

Amazon

Amazonは、世界的にEC事業を展開するECモールです。出品型のECモールと呼ばれており、出品者やショップよりも商品に主眼を置いています。そのため、個人の出品者も多く、1点ずつの小口出品も可能です。
また、Amazonは、フルフィルメント by Amazon(FBA)という出品者向けのフルフィルメントサービスも提供しています。フルフィルメントサービスを利用すると、在庫管理やピッキングの手間をかけずに商品を販売できます。

Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピングは、ソフトバンクグループが運営するECモールです。同社が提供するキャッシュレス決済サービスのPayPayと連携したキャンペーンが特徴的です。もともとシニア層を中心に展開していましたが、2015年に発表された「買い物革命」を起点に、さまざまな大規模施策を実施。近年ではPayPayとの連携キャンペーンもあり、若年層ユーザーも年々増加しています。

ZOZOTOWN

ZOZOTOWNはファッションやコスメに特化したECモールで、アパレル業界では最大手です。出店審査が厳しく、法人しか出店できないなど、出店のハードルが高いですが、本格的なアパレル販売を検討している企業にはおすすめのECモールです。
楽天市場やAmazonなどほかのECモールと違う点は、販売商品をZOZOTOWN側の倉庫へ預ける形になります。発送からカスタマーサポートまでZOZOTOWN側で一貫して実施してくれるため、リソース面で有利といえるでしょう。
2019年にYahoo!がZOZOTOWNを買収し、Yahoo!ショッピングとの連携で一層ユーザーの集客力に期待が高まっています。

カートASP

カートASPとは、テンプレートを選んで、基本的な情報を入力するだけで、ECサイトを開設できるサービスです。代表的なカートASPには、BASEやmakeshopなどがあります。初期費用ゼロで利用できるサービスや、有料カートASPでも月々数千円から数万円で利用できるため、スモールスタートでECサイトをはじめたい方に向いています。

カートASPには、無料のカートASPと有料のカートASPなどがありますが、大きな違いはカスタマイズの自由度と機能の豊富さ、サポート体制の手厚さなどが変わってきます。

カートASPを検討する際には、どういったECサイトを作りたいかを事前に整理したうえで比較検討しましょう。

makeshop

makeshopは、豊富な機能が特徴のカートASPです。一般的にカートASPは、コストを抑えられる一方、機能性に乏しいといわれていますが、makeshopはECサイトに必要な機能を幅広く備えています。BtoB-ECに対応できる点も魅力的です。

オープンソース

オープンソースとは、ソースコードが無償で公開されているソフトウェアです。コードは自由に編集できるため、ECモールやカートASPに比べて、デザインや機能の面で柔軟性に長けています。

しかし、オープンソースを利用する場合、構築や保守には専門知識をもった人材が必要不可欠です。ときには高度な知識やノウハウが求められるため、外部の制作会社に対応を依頼する企業も多いでしょう。

パッケージ

パッケージとは、既存のシステムを組み合わせたり、カスタマイズしたりして、ECサイトを構築するサービスです。デフォルトで基本的な機能を網羅しており、必要に応じて機能を追加できます。

既存のシステムをベースにしつつ、部分的に新規開発を含むため、カートASPやオープンソースよりもコストは大幅にかさみます。

クラウドEC

クラウドECとは、クラウド上のシステムを利用して、ECサイトを構築できるプラットフォームです。仕組みとしてはカートASPとよく似ていますが、クラウドECはECパッケージと同等の自由度を誇ります。

カスタマイズ性にも長けているうえ、クラウド上のシステムは自動でアップデートされるため、サーバーの準備や保守対応にかかる手間も不要です。つまり、クラウドECは、カートASPとECパッケージの長所をあわせもったプラットフォームといえます。

GMOクラウドEC

GMOクラウドECは、GMOメイクショップ株式会社が提供するクラウドECです。ヘッドレスコマースという最新アーキテクチャを採用しており、自由度の高い連携と構築が可能となっています。ビジネスモデルに合わせてシステムを構築していく事が出来るというのは、導入実績が豊富な大企業グループならではと言えます。

フルスクラッチ

フルスクラッチとは、ゼロから新規開発してECサイトを構築するサービスです。自社独自のシステムを構築するため、社内のあらゆるシステムと連携できるほか、どんな要件にも対応可能です。
一方、構築にかかるコストは非常に高額で、半年から1年程度の期間がかかります。主に、年商10億円以上の大企業において採用される方法です。

ECサイトの作り方

ECサイトを構築する流れは、以下のとおりです。

  1. 事業計画
  2. 要件定義
  3. プラットフォーム選定
  4. サイト制作
  5. 商品登録
  6. ECサイト公開

事業計画では、ECサイトのコンセプトや販売商品、ターゲット層や3年後までの売上予測などを綿密に計画します。なお、事業計画をあいまいなまま進めてしまうと、その後の要件定義やプラットフォーム選定にも影響を及ぼしかねません。
要件定義では、ECサイトの規模や機能をはじめ、構築上の要件を決定します。どんな機能が必要かをイメージするうえで、実際に競合他社のECサイトを利用してみるのも一つの手です。
要件がある程度固まったら、利用するプラットフォームを選定します。デザインや機能によって利用すべきプラットフォームは絞られるので、あとは予算をもとに最終決定します。
プラットフォームが決まれば、残る作業はサイト制作と商品登録のみです。
サイト制作ではユーザビリティを意識することがポイントです。どんなにサイトや商品が魅力的でも、操作性に欠けているサイトは利用してもらえません。また、商品を登録する際は寸法や写真などの情報を充実させることが大切です。

ECサイトに必要な機能

ECサイトに必要な機能
ECサイトに必要な機能は、一般的なWebサイトにおいて求められる機能とはすこし異なります。そのため、ECサイトの構築を検討する際は、事前にどんな機能を実装すべきかを把握しておくことが重要です。ECサイトにおける主な機能は、以下のとおりです。

  • ・商品情報管理
  • ・顧客情報管理
  • ・在庫管理
  • ・ショッピングカート
  • ・お気に入り登録
  • ・決済
  • ・問い合わせ
  • ・メール配信
  • ・クーポン配信
  • ・分析

ECサイトの運営業務

ECサイトの運営業務
ECサイトを運営するうえでは、集客や販促、販売後の発送やアフターフォローなど、さまざまな業務があります。運営業務は、フロント業務とバックエンド業務に区分されるのが一般的です。
以下では、それぞれの業務内容について解説します。

フロント業務

フロント業務とは、商品を販売するまでの業務です。広告展開をはじめとするマーケティング、UIの改善やキャンペーンの実施などがフロント業務にあたります。フロント業務の担当者は、EC販売における前線に立つ役割です。

バックエンド業務

バックエンド業務とは、商品を販売したあとの業務です。在庫管理や発送処理、アフターフォローなどがバックエンド業務にあたります。あまり表に露出する役割ではないものの、顧客満足度に直結する部分でもあるため、非常に重要な役割を担っています。

コロナ禍のEC台頭にともなって閉店ニュースが相次ぐ

コロナ禍のEC台頭にともなって閉店ニュースが相次ぐ
テクノロジーの発達にともなうECの台頭は、新型コロナウイルスの拡大によって大幅に加速しました。一方、オフラインで商品を販売する店舗型ビジネスは大きなあおりを受けています。中には、閉店を余儀なくされた企業も多くあります。アメリカの老舗百貨店であるバーニーズニューヨーク、120年以上の歴史をもつ小売業のシアーズなどが相次いで閉業している状況です。

まとめ

まとめ
オンラインで商品やサービスを販売するECは、オフライン販売にはないメリットをもっています。店舗をもたずに、世界中のユーザーに対して商品を販売できるため、だれでもローリスクで挑戦可能です。
また、近年ではビジネスモデルの多様化にともなって、EC事業をはじめる個人や法人も増えています。業界全体としても、さらなる成長が見込まれており、今後の発展が期待されています。