- 最終更新日: 2025.02.07
- 公開日:2022.10.07
ECシステムとは?システムの種類や基本機能、よくある質問までわかりやすく解説

- EC
- お役立ち情報
- クラウドEC
- 構築
- 用語・知識
EC(電子商取引)市場は年々成長を続けており、企業や個人がECサイトを運営するためには「ECシステム」が不可欠です。本記事では、ECシステムの基本概念、種類、機能、選び方について詳しく解説します。さらに、よくある質問にも回答し、最適なECシステムを選ぶためのポイントを紹介します。
目次
ECシステムとは?
ECシステムとは、オンライン上で商品やサービスの販売を行うためのシステムのことを指します。ECサイトを運営するために必要な注文管理、決済、顧客管理、商品管理などの機能を備えています。
ECシステムの役割
- オンラインショップの構築・運営を支援
- 商品や顧客情報の管理
- 決済や注文処理を自動化
- 売上分析やマーケティング施策の実施
EC業界のトレンド
EC業界は、ビジネス全体の中では比較的新しい市場であるため、トレンドが激しく移り変わっています。2022年現在のトレンドとしては、オムニチャネル、DtoCブランドの台頭、AIテクノロジーの参入などがあげられます。
オムニチャネル
オムニチャネルとは、複数のチャネルを連携してシームレスな顧客体験を実現する施策です。従来、実店舗とECサイトで受けられるサービスに違いがあるのは仕方のないことでした。しかし、チャネルの多様化にともなって、各チャネルを個別に運用するのが非効率になり、顧客体験の悪化にもつながることからオムニチャネルの考え方が生まれました。
オムニチャネルでは、実店舗やECサイトだけでなく、SNSやアプリ上のデータなども連携してサービスを提供します。各チャネルの連携によって、チャネルをまたいでも顧客データや購買データ、決済情報などを共有できるため、一貫した顧客体験を実現できます。
- オムニチャネルについては以下の記事で詳しく解説しております。
- 【2022最新】オムニチャネルとは?注目される理由やポイント、導入事例を解説
DtoCブランドの台頭
従来、EC市場においてはBtoB、BtoC、CtoCの3つのビジネスモデルがありました。そこにBtoCの新モデルとして登場したのがDtoCです。
DtoCとは、Direct to Consumerの略称で、自社製品を卸売業者や小売業者を介さず、直接顧客に販売するビジネスモデルです。DtoCブランドは、コストやマージンを抑えられる分、質の高い商品を低価格で販売できます。DtoCブランドの多くは実店舗を設けず、ECサイトを中心に販売しているため、EC市場にも大きく影響を与える存在です。
- DtoCについては以下の記事で詳しく解説しております。
- 今注目のD2Cとは?ビジネスモデルの特徴からメリット、成功事例までわかりやすく解説
AIテクノロジーの参入
近年では、ECサイトの弱みである接客面を補完するためにAIテクノロジーが用いられています。
身長・体重・好みのサイズ感などを入力するとおすすめの商品サイズが表示されるサービス、ユーザーの悩みや疑問を解消するチャットボットなどが代表例です。
いずれも蓄積されたデータをもとに接客サービスを提供しており、業務負担を増やすことなく、実店舗に近い接客を実現できるソリューションとして注目されています。
ECサイトの種類
ECサイトには、自社ECサイトとモール型ECサイトの2種類があります。どちらもオンラインで商品を販売する点においては同様ですが、構築方法や運用コストなどが異なるため、目的によって使い分けることがポイントです。
自社ECサイト
自社ECサイトとは、自社のブランドや取扱商品のみを販売する独自サイトです。
独自ドメインを取得して自社のサーバー上で管理するケースが一般的です。新規Webサイトとして開発するため、サイトデザインやキャンペーンの自由度が高く、本格的なECサイトをつくりたい企業に向いています。
一方、構築や運用にかかるコストは、モール型ECサイトに比べて高くなりやすい傾向があります。
モール型ECサイト
モール型ECサイトとは、複数のブランドやショップが出品するECサイトです。
Amazonや楽天市場、ZOZOTOWNなどがモール型ECサイトにあたります。既存のWebサイト上にショップを出店したり、商品を出品したりする仕組みのため、モール内のフォーマットに沿ったデザイン・機能しか利用できません。
ただし、Webサイト自体の運営は、プラットフォーマーと呼ばれる運営企業が担っているため、業務やコストの負担は少なくなります。また、モール内には一定数のユーザーがおり、集客力に長けている点も特徴です。
ECシステムの種類
ECシステムにはさまざまな種類があり、どんなシステムを利用して設計するかがECビジネスの成功を左右します。自社の目的や規模に応じて最適なものを選びましょう。
以下に主なECシステムの種類を紹介します。
ASPカート型ECシステム
ASPカート型ECシステムは、クラウド上で提供されるECシステムで、月額料金を支払うことで手軽にECサイトを構築できます。
- メリット:低コストで導入が容易、デザインやコーディングをする必要がない
- デメリット:デザインや機能の制限が多く、カスタマイズの自由度が低い
オープンソース型ECシステム
オープンソース型ECシステムは、無償でソースコードが公開されており、自由にカスタマイズできるECシステムです。
- メリット:高いカスタマイズ性、システムの利用にあたってコストがかからない
- デメリット:導入・運用に専門知識が必要、時間や工数がかかる
パッケージ型ECシステム
企業向けに提供されるソフトウェアパッケージを導入し、自社サーバーに設置するECシステムです。
- メリット:デザインや機能面の自由度が高い
- デメリット:自社サーバー環境の用意が必要、数年に一度は大規模な改修が必要になる
クラウド型ECシステム
クラウドECは、SaaS型(Software as a Service)のECプラットフォームで、クラウド上に構築されるシステムです。初期費用を抑えつつ、拡張性の高いECサイトを構築できます。
- メリット:拡張性が高く、運用負担が少ない、本格的なECサイト制作にも対応可能
- デメリット:機能カスタマイズが限定される場合がある
フルスクラッチ型ECシステム
フルスクラッチとは、ゼロから独自開発するECシステムのことです。すべてを自社のシステムとして最適化できますが、高コストです。
- メリット:企業独自のニーズに合わせて、細かな仕様の調整にも対応可能
- デメリット:費用が高い
ECシステムを構成する基本機能
ECシステムを構成する機能には、商品・顧客・注文・デザインなど、さまざまなものがあります。ECシステムの導入・開発の際、どんな機能が必要かを知っておくと、要件定義やカスタマイズをスムーズに進められます。
以下では、ECシステムを構成する機能について紹介します。
商品に関する機能
商品の登録・編集、在庫管理、カテゴリー設定などを行う機能です。
- 商品管理機能
- 商品情報の登録や編集
- 在庫管理機能
- 在庫数量の管理
顧客に関する機能
顧客情報の管理、会員登録、購入履歴の確認などが可能です。リピーター獲得のためのマーケティング施策にも活用されます。
- 顧客管理機能
- 顧客情報の確認や編集
- 問い合わせ管理機能
- Web・電話・メールの問い合わせ内容の確認や管理
- メール配信機能
- 注文完了時・発送完了時の自動配信、メルマガの配信
注文に関する機能
ユーザーが商品を選び、購入手続きを行うための機能です。クレジットカード決済や銀行振込、電子マネー決済など多様な支払い方法をサポートします。
- 注文管理機能
- 注文情報の確認や保存
- 決済管理機能
- 決済情報の管理、決済ツールとの連携
- 出荷管理機能
- 出荷時に必要な情報の確認や編集
デザインに関する機能
新しいコンテンツの追加やサイトのデザインを変更するための機能です。
- CMS機能
- コンテンツの追加や編集
販促に関する機能
ユーザーに向けて、施策やキャンペーンを実行し、購入を促して売り上げ拡大を後押しする機能です。
- キャンペーン機能
- 各種キャンペーンの実施や設定
- クーポン機能
- クーポンの配信
- レコメンド機能
- レコメンドの設定や表示
分析に関する機能
売上データやアクセス解析を行い、マーケティング施策の改善に活用します。
- ユーザー分析
- ユーザー属性、デバイスの分析
- アクセス分析
- 流入チャネル、ページごとのアクセスなどの分析
ECシステムの選び方
自社に適したECシステムを選ぶ際のポイントを紹介します。
1. 事業規模に合ったシステムを選ぶ
小規模ならASP型、大規模ならクラウド型やフルスクラッチ型が適しています。
2. 必要な機能が揃っているか確認する
決済手段や顧客管理機能など、運営に必要な機能があるかをチェックしましょう。
3. カスタマイズ性の有無
自社独自の仕様に合わせたカスタマイズが必要かどうかも重要な判断基準です。
ECシステムのよくある質問(FAQ)
ECシステムは一般的になじみのないシステムだからこそ、仕様や機能に疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。
以下では、ECシステムについてよくある質問に回答します。
ECシステムの導入費用はいくら?
ASP型は月額1万円~、クラウド型は数十万円~、フルスクラッチ型は数百万円以上と幅広いです。
おすすめのECシステムはどれ?
事業規模や予算に応じて選ぶのが重要です。小規模ならASP型、大規模ならクラウド型がおすすめです。
定期購入に対応できる?
ECシステムは、定期購入商品の販売にも対応できます。ただし、一部のシステムは対応できなかったり、オプションとして別途費用が発生したりする点に注意すべきです。
オムニチャネルに対応できる?
オムニチャネル施策を検討している場合には、ほかのチャネルと連携しやすいECシステムを導入する必要があります。社内の既存システムとの互換性を中心に、導入するECシステムを選択するとよいでしょう。
システムインテグレータ(SIer)とは?
システムインテグレーターとは、システムの企画・開発・運用を受託して行う企業です。カートシステムを構築する際、システムインテグレーターに外注するケースもあります。
ECシステムの展示会はある?
ECシステムに関する展示会は、首都圏をはじめとする大都市の大型会場で実施されています。代表例は、EC&店舗EXPOやEコマースフェアなどです。中には、商談スペースが設けられており、その場で契約まで進める展示会もあります。
まとめ
ECシステムは、ECサイトを開発・運用するうえで必須となるシステムです。ECシステムによってデザインや機能はもちろん、実現可能な要件も異なります。事業の規模や目的に応じて最適なシステムを選び、効果的に活用することが成功のカギとなります。
本記事を参考に、ECサイトの要件をしっかりまとめてから、自社に適したECシステムを選びましょう。
- プラットフォーム毎の違いと選び方については以下の記事をどうぞ
- 【2022最新】ECプラットフォームとは?種類ごとの比較やおすすめツールも紹介
また、開発の段階からある程度、将来的な規模の拡大を見越しておくことも重要です。拡張性に乏しいシステムを選んでしまうと、規模の拡大に対応できず、システムの乗り換えが必要となってしまうケースもあるため、慎重に選択しましょう。