- 最終更新日: 2024.03.29
- 公開日:2022.08.23
ヘッドレスコマースとは?仕組みやメリット、事例をご紹介!
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- 用語・知識
目次
ヘッドレスコマースとは
ヘッドレス・コマースとは、フロントエンド(お客様接点)とバックエンド(ECサイトの裏側のシステム)を分離させたシステム構成を指します。
ECサイトは、主にお客様接点部分となる「フロントエンド」と、ECサイトの裏側のシステムで、決済、商品、在庫、配送などの情報を管理する「バックエンド」の2つから構成されています。従来のシステムでは一体となっていたフロントエンドとバックエンドを分離させたシステムが『ヘッドレス・コマース』となります。
ヘッドレスコマースの仕組み
ヘッドレス・コマースは名前の通り、「ヘッド(頭)がない = ECサイトのフロントがない」の状態を表しています。
この「ヘッド(お客様とのタッチポイント)」となるフロントシステムとバックエンドを繋ぐ必要がありますが、そこで必要になるのがAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)です。
APIを使用することにより、一般的なWeb画面だけでなく、フロントエンドとなり得る各種サービス(CMSやライブコマースツール、チャットボット 等)とも連携することが可能になります。
従来型のECシステムとの違い
従来型のECシステムは、フロントシステムとバックエンドシステムが一体となっている様子からモノリシック(一枚岩)構造といわれます。
モノリシック構造の場合、ちょっとしたレイアウトや文言の変更だけでもバックエンドに影響を与えるケースが多いため、変更・修正に時間が掛かるだけでなく、最悪の場合、変更・修正ができないことがあります。
一方、ヘッドレス・コマースを採用することにより、ECサイトのフロントを分離することでバックエンドに依存しないため、バックエンドへの影響を考慮せずにフロント部分のみを修正できます。
そのため、スピーディーにページのレイアウトなどを変更することが可能なため、UX(顧客体験)を高めるための改善や追加開発がしやすくなります。
ヘッドレス・コマースのメリット
ヘッドレス・コマースを採用することは大きな強みになります。
ここではヘッドレス・コマースのメリットについてご説明いたします。
UI / UXの改善・最適化がしやすい
UIは、UXを大きく左右する要素の一つです。しかし、モノリシック構造の場合、UIを変更するにはフロント・バックエンドの両面で調整を図らなければいけないほか、そもそも実現できないUIを実装するにはシステムを入れかえなければいけません。
一方、ヘッドレスコマースであれば、あるフロントシステムでは実現できないUIを、別のフロントシステム上で実装する手段があります。また、フロントとバックエンドのシステムが一体化していないため、どちらか一方を調整することも容易です。
フロントシステムの仕様によってUIを調整して、チャネルごとにUXの最適化を図れれば顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
販売チャネルの追加・次世代のインターフェースに対応しやすい
ヘッドレスコマース最大のメリットは販売チャネルの追加が容易な点です。
例えばBtoCのECサイトを単体で構築する場合でも、売上・販売網の拡大に応じてサイトの追加やBtoB ECの追加、アプリや実店舗との連携といったオムニチャネル展開などを行なって行くことが予想されます。
その際、ヘッドレスコマースで構築しておくことで、チャネルの追加に対してバックオフィスとしてのシステムは1つに統合する事が可能な為、素早く安価にチャネルを追加して売上の最大化へと対応する事が出来ます。
そしてチャネル間を跨いだユーザーの管理や数値の分析も容易となり、施策や顧客体験の改善へ繋がります。
また、今後登場するであろう次世代のさまざまなインターフェースに対応しやすくなるという点も、ヘッドレス・コマースのメリットです。
最近では、ライブコマースやチャットボット、VRデバイスはECサイトでの活用も増加しています。
例えば、商品レイアウトや雰囲気など、さながら実店舗でのショッピングを体験できたりする『VRコマース』、チャットボットで買い物をされるお客様の不安をチャットで解消しつつ買い物をしてもらう『チャットコマース』などです。
上記だけでなく、お客様接点となるフロントエンド(ヘッド)は、技術の進化、顧客体験向上を目指した発想で今後も続々登場していきます。ヘッドレス・コマースは、フロントエンドと接続するための豊富なAPIを装備しているため、APIのインターフェースを持つ相手とならどの相手とも繋げることができます。
自社エンジニアはフロント部分の開発に専念へ
ECシステムをスクラッチやオープンソースを利用して自社開発している場合、多くの機能や要件等を考えて保守開発していく必要があるため、UI / UXの改善ばかり考えるわけにはいきません。
また、ECシステムをベンダーに外注している場合は、外注ベンダーの開発リソースに左右されやすく改修の費用や時間がかかるため、自社のスピード感に合わせたUIの改善は難しくなります。
『ヘッドレス・コマース』ですと、従来のECシステムのような複雑につながっているフロントエンドとバックエンドを分けることができますので、フロントエンドとバックエンドに分けた開発体制が可能になります。そのため、UI / UXを自社で抱えているエンジニアで徹底的に改善する体制を敷き、外注ベンダーにはバックエンドの改修に専念させるような体制も可能となります。
ヘッドレス・コマースの注意しておくべき点
ヘッドレスコマースを採用することは大きな強みになりますが、一方で注意点もあります。
ここではヘッドレス・コマースの注意しておくべき点についてご説明いたします。
高度なマーケティングスキルが求められる
ヘッドレス・コマースで重要なのは、最高のUXを実現するためのフロントの開発です。これには成功法則がないため、ユーザーと徹底的に向き合った企業のみが得られる独自のノウハウです。そのため、UIを突き詰めて考えることのできるWEBマーケティングに長けたEC担当者が自社にいるかがポイントとなります。
UIを突き詰められる自社の方針や人材、体制を整えられるよう、UI改善に関する講演やセミナーへの参加、優良なパートナーやコンサルタントを見つけることも必要となります。
従来のEC構築よりもコストと時間がかかる
ヘッドレス・コマースのECサイトは、モノリシック構造のECサイトに比べて構築にコストと時間がかかります。
フロントシステムとバックオフィスシステム両方の開発を考えなくてはならない点や、既存のECシステムから移行する場合には移行の費用がかかりますので、移行にかかる期間と費用をしっかりと見積もる必要がでてきます。
ヘッドレス・コマースの採用事例
続いて、実際にヘッドレスコマースを採用した国内でのECサイトの事例について紹介していきます。
ハウスダイレクト
ハウスダイレクトは通販限定商品をはじめとした、ハウスの健康食品・サプリメントや、健康に関する情報をお届けするECサイトです。
ECシステムはGMOクラウドECのクラウドECプランを採用しており、CMSはWordPressを利用し、ヘッドレス・コマースを実現しています。
定期コースの申し込みフローを簡略化し、ECサイト上でお届けタイミング変更や休止などの受付を可能とすることで、運用コストの削減とLTVの最大化を果たしています。
また、健康に関する各種コラムを掲載することにより健康に関する関心を高め、検索流入による潜在顧客の獲得および高いSEO効果を生み出しています。
Trading Post
https://www.tradingpost-online.jp/
Trading Postは、高級紳士靴のセレクトショップのECサイトです。
ECシステムはGMOクラウドECのクラウドECプランを採用しており、CMS部分はスクラッチ開発し、ヘッドレス・コマースを実現しています。
ブランド・靴のタイプ・利用シーン・ソール種別・素材など、多岐にわたる検索条件により目的の商品を探しやすいサイト設計としています。
また、動画コンテンツによる訴求や、ブランドごとの特徴・歴史などのコンテンツ、革靴の手入れ方法などのコンテンツを掲載することにより、商品の訴求力を高めています。
Every HOUSE
Every HOUSEは、「おうち時間をもっとたのしく!」をコンセプトに、ハウス食品のWeb限定商品を中心に扱うECサイトです。
ECシステムはGMOクラウドECのクラウドECプランを採用しており、CMS部分はスクラッチ開発し、ヘッドレス・コマースを実現しています。
商品点数は少ないものの、各商品ページをLP型の構成とすることにより、商品コンセプトごとに最適なデザインを実現し、バックグラウンドストーリーとともに商品の魅力を伝えています。
ヘッドレスコマースを実現できる国産のECプラットフォーム
ヘッドレス・コマースは、どんなプラットフォームでも導入できるわけではありません。ECシステムのなかでも、一括管理に耐えうるバックエンドシステムとAPIを備えていることが必須です。
以下では、ヘッドレスコマースを実現できるECシステムについて紹介します。
GMOクラウドEC クラウドECプラン
GMOクラウドEC クラウドECプランは、月商数億から数十億を目指すEC事業者様向けのエンタープライズ向けのコマースプラットフォームです。
このサービスはGMOメイクショップが提供しており、創業当初より提供しているSaaS型サービスのmakeshopの国内11,000店舗のビッグデータとノウハウを取り入れ、ゼロから構築した国産のサービスです。
国産のサービスですので、日本の商習慣に合わせているのはもちろんですが、システムにビジネスモデルを合わせるのではなく、変化するビジネスモデルにシステムを継続的に改善していくことができるのが特徴です。
また、BtoCやBtoBのサイトだけでなく、マルチドメイン・マルチブランドサイトや、ショッピングモール型ECサイト、ふるさと納税サイトの構築も可能です。
その他、オムニチャネル、OMO、エンドレスアイル、BOPIS、クリック&コレクト等の実現が可能です。
まとめ
ヘッドレス・コマースについて解説してきました。
ヘッドレス・コマースは、ECシステムのフロントとバックエンドを分離させる考え方で、あくまでECサイト構築の手段の一つに過ぎません。導入することを目的とするのではなく、ヘッドレス・コマースを導入して何を実現したいのかを明確にすることが重要です。
一方で、ヘッドレス・コマースの特性を理解してうまく活用することができれば、次世代のさまざまなインターフェースの出現により、ショッピング体験の向上・顧客体験を向上させる可能性があります。
他社の事例などを参考にしたい、ヘッドレス・コマースを検討してみたい、ECビジネスの成長にどのようなシステム構成が必要なのか聞いてみたい、と言う方は、お気軽にお問い合わせください。