- 最終更新日: 2020.09.04
- 公開日:2020.09.04
ニューノーマル時代に求められるラストワンマイル戦略とは?
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ラストワンマイルという言葉をご存知でしょうか。簡単に言うと、ECなど通販事業者と注文者の自宅などに届けられる物流の「最後の区間」を指しています。
以前よりこの物流の最後の区間であるラストワンマイルの課題は注目されていました。また突如訪れたコロナの影響で、店舗や商業施設でのお買い物ができなくなった消費者のEC利用が急増し、ラストワンマイルにも変化が生じました。今後も拡大するであろうEC市場において、顧客のラストワンマイル戦略は必要不可欠なものと言えます。
今回は、この分野で取り組みを強化されている株式会社セルート様にお話を伺いし、ラストワンマイルにおける顧客体験の向上により、継続的な顧客との関係性を維持する秘訣について解説して参ります。
目次
ラストワンマイルの課題
前述でもお伝えしましたように、ラストワンマイルとは、注文者の自宅などに届けられる物流の「最後の区間」を指しています。 EC需要が高まるにつれ、ラストワンマイルの課題が具体化しています。
1. 配達ドライバー不足
EC需要が高まり、宅配便の取扱数が増加し、配達業者にとってはドライバー不足と労働環境の悪化が課題になっています。
2. 不在再配達の増加
配達業者は再配達を無料サービスとして位置付けている為、増えていく再配達コストが宅配賃料値上げに影響を及ぼしています。消費者と配達業者の互いが荷物の状況を把握できるコミュニケーションが必要になります。
消費者はますます物流サービスの質や柔軟性を求めていますが、慢性的なドライバー不足、そして不在再配達コストの増加により、配達業者は値上げや配達時間帯の見直しをせざるを得ないという悪循環が生まれてしまっています。
ラストワンマイルにおける顧客体験価値
「今すぐ欲しい」といったスピードや、様々な生活様式の顧客一人ひとりのニーズに、配送サービスは応えることは可能なのでしょうか。
バイク便大手のセルート社が運営する配送クラウドソーシングプラットフォーム「DIAq(ダイヤク)」は、このコロナ禍においてもサービスに力を入れています。
DIAqは、荷物を届けたい荷主とアンカーと呼ばれる配達員をリアルタイムでマッチングさせるアプリです。いわゆるUber eatsの荷物版といったところでしょうか。Uber eatsの場合は、このアプリのプラットフォームに登録している店舗だけが利用できるサービスですが、このDIAqは様々なECサイトとAPI連携を行うことで、DIAqの提供する配送サービスを利用することが出来ます。
注文を受けたタイミングでリアルタイムに配達員をマッチングし、商品を配達することでECサイトのラストワンマイルにおける顧客体験価値を上げることを実現しています。
DIAqの具体的な顧客体験の価値は以下となります。
顧客は、連携したECサイトで商品を購入する際、発送方法選択欄から「DIAq」を選択することができます。現在の配達範囲は東京23区、横浜市、大阪市内と限られていますが、顧客は、従来の配送では得られなかったメリットを享受することが出来ます。
- 「当日配送」を選べる。
- 早朝や夜間など幅広い時間帯を指定できる。
- 1時間単位のお届け時間帯を選べる。
- 配送料が安く抑えられる。
例えば、平日オフィス勤務をしている単身の会社員が従来の配送を使用した場合、配達時間帯指定を帰宅予定時間に合わせて、19時ー21時に指定していたとします。急な残業で20時に帰宅した場合、19時台に配達されているとなると不在票より再配達を依頼しないといけませんでした。
そこで、DIAqを選ぶなら、夜間の時間帯も1時間単位で指定ができるので、21時―22時と遅い時間帯を指定することで、残業後でも受取ができるようになります。また出勤前の朝8時に受け取ったりすることも可能です。
このように様々な生活様式の顧客、一人ひとりが便利にECを利用することができます。また「今すぐこの商品が欲しい」というECサイトで購入した瞬間の顧客の熱い感情を冷ますことなく、顧客に商品をお届けすることができるのです。
コロナ時期におけるEC、物流の変化
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の外出自粛により、ECを初めて利用する消費者が増えました。また5月に解除された後でも、消費者は、今までのように店舗や商業施設ではなく、あらゆる買い物をECサイトで済ませられる便利さに気づき、今後もEC利用が増加していくであろうと言われています。
実際に、店舗などオフラインでの販路からECへと販路拡大する企業が小売業だけでなく製造業やメーカーにも広がりつつあります。
このようにECの増加により、物流の需要が高まりました。
ラストワンマイルの課題でもある人手不足により、過剰なEC利用増加で、物流のパンクは生じなかったのでしょうか。
DIAqを展開する株式会社セルート広報田村様に、コロナ時期の物流の需要と変化についてお聞きしました。
「5月の注文件数は、前年同月比402%でした。コロナ時期のEC利用者の拡大だけでなく、それを支えるアンカーと呼ばれる配達員の登録が増えたことで、過剰に増えた物流を滞りなく応えることができました。アンカーの登録数は、4月の前年同月比で、211%。現在は7000名を超えるアンカーが登録されています。」
「緊急事態宣言の影響でEC利用が増え、物流の量も増えましたが、在宅ワークなどの広がりで日中の在宅率が上がり、1度の訪問でお届けできることが多いため、物流業界全体では大きな問題にはなっていないと聞いています。またDIAqは、当日配送や1時間単位で時間指定ができるので、元々不在率は他の配達業者と比べ低いのが特長です。」
「しかし、生鮮食品やネットスーパーの利用が増えたことで、充分に自社の配達員を確保していないスーパーや店舗がパンクしていたようです。特にネットスーパーは、18時―19時がピークタイムで、この時間帯に集中し、ユーザーは希望の時間帯に商品を受け取れないという事が生じていました。DIAqだとリアルタイムで配達員をマッチングできるシステムがあるので、希望の時間帯を選ぶことができます。」
クックパッドマートとの連携
DIAqでは、2020年4月に、生鮮食品に特化したEC「クックパッドマート」との連携をし、この時期でも、生鮮食品を買い求められる顧客に利便性を提供されています。
クックパッドマートとは、クックパッドが運営する地域の生産者から新鮮な食材を出荷当日にお届けするECサイトです。注文した商品は、地域に設置された「マートステーション」である、商品受け取りボックスに届けられ、好きな時間に商品を受け取りに行くことができます。
今回DIAqのAPI連携により、オプションでDIAqのアンカーにマートステーションからピックアップしてもらい、自宅まで配達をお願いすることができるようになりました。
自社ECサイトの配送方法に、DIAqを選択方法の一つとして検討している企業の問い合わせが増えているとの事です。
小売り業者にとって、店舗などオフラインでの顧客とのコミュニケーションが難しくなっている今、オンライン含むあらゆる接点で顧客に寄り添い、顧客のニーズに応えるような、顧客体験の提供をすることが必要となることでしょう。そうすることによって益々企業価値を上げていくことができるでしょう。
ぜひ、ECでのラストワンマイル戦略の参考にしてみてください。