- 最終更新日: 2022.04.01
- 公開日:2022.04.01
【コラム】メタバース時代は“メタチャネル” 〜仮想世界で変わるECの未来〜
- EC
- お役立ち情報
目次
リアル世界ECと仮想世界ECの融合「メタチャネル」
仮想空間や仮想世界と呼ばれる「メタバース」が、長く続く大きなトレンドになりそうです。ITの巨人と呼ばれる企業が続々と参入したことによる盛り上がりもありますが、デジタルネイティブな人口が増えたことによる人類の意識の変化も追い風になっているのではないでしょうか。そして、この新しい世界で登場するのが「メタチャネル」です。
リアル店舗やECは、リアルな世界で商品やコンテンツの売買を担っています。その店舗やECサイトがメタバース上で商品やコンテンツを販売するという程度であれば、チャネルが一つ増えただけで、まだオムニチャネルの域を出ていません。
では、メタチャネルとは何でしょうか。
オムニチャネルとOMO
リアル店舗とECの関係が発展していくなかで、その関係性を示す呼び名は「シングルチャネル」「マルチチャネル」「クロスチャネル」「オムニチャネル」などと変遷してきました。現在では、リアル店舗やECなどの店舗形態に加えて、スマートフォンやPC、テレビなどのデバイス、オンライン接客などの接客方法などをデータを含めて統合するオムニチャネルを目指すのが一般的です。そして、この流れをくむのがメタチャネルになります。
オムニチャネルに似た用語で「OMO(Online Merges with Offline)」がありますが、主軸として考えるものが違います。オムニチャネルが「顧客の購買行動」で、OMOが「顧客体験」になります。ただ、チャネルの視点ではほとんど同義と考えて問題ないでしょう。余談ですが「クリック&モルタル」「O2O(Online to Offline)」「ショールーミング」など、××チャネルの進展とともに多数のキーワードが登場しています。
メタバース普及の条件
メタチャネルを理解するには、やはりメタバースを知る必要があります。メタバースとは「仮想空間」や「仮想世界」を意味し、リアル世界の人がそこで行動できる空間になります。英語表記は「Metaverse」で、「Meta(超越した)」と「Universe(世界)」による合成語になります。
メタバーズはリンデンラボ社の「セカンドライフ」に代表されるように、以前からありましたが、VRゴーグルなどのハードウェアの進化、仮想世界との親和性が高い暗号資産の普及などが現在のブームを後押ししています。
一方で、メタバースの将来性に疑問符を抱く人も少なくありません。一部の愛好家しか使わないのではないかという疑問もその一つ。確かに、あるメタバースでは閑古鳥状態になっていると聞くことがあります。メタバースには超えるべきハードルがたくさんあるのでしょうが、さまざまなサービスが淘汰を繰り返すなかで精錬されていくと期待しています。
メタバース上のECビジネス
メタバース内のECは、リアル世界を仮想世界に置き換えれば理解しやすいです。消費者は、メタバース内で服を買ったり、コンサートを楽しんだり、自動車を買ったり、旅行したりします。瞬間移動はできますが、目的地まで車に乗ったり電車に載ったりして、景色を楽しむなどの旅行をします。そのチケットが売買されるのです。
そして、ここからが重要です。メタバース内で購入したものは、メタベース内で完結するものと、リアル世界に届けられるものがあります。洋服であれば、メタベース内のアバターが着るために買う、リアル世界で切るために買うという2パターンがあるのです。
洋服を販売するブランドは、メタバース内だけで販売するケースも出てくるでしょう。デジタルですので、本物かどうかの証明には、これまた話題のNFT(Non-Fungible Token)の技術が使われると思われます。中古品の市場も出てきます。
反対に、リアル店舗でメタバース向けの洋服を購入するケースも出てきます。気に入った洋服を自分ではなく、アバターに着せたいという心理です。
つまり、メタチャネルとは、リアル空間のオムニチャネルと仮想空間のオムニチャネルの融合ということになります。メタバースを受け入れられないと理解しがたい世界でもありますが、紆余曲折を経ながら世界は着実にメタチャネルへと向かっていくでしょう。そして、GMOメイクショップのようなECサイト構築サービスベンダーには、メタバース内にも簡単に出店できる機能を提供することが求められるようになっていくと考えています。