• 最終更新日: 2024.05.31
  • 公開日:2022.11.28

ささげ業務がECサイトと消費者を結びつける~消費者に対して商品・サービスの魅力を正確に売り込む~

ささげ業務がECサイトと消費者を結びつける~消費者に対して商品・サービスの魅力を正確に売り込む~
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ECサイトで物品を購入させるために重要なものとして「ささげ業務」が注目されています。

この記事では「ささげ業務」の解説とECサイトにおける重要性について解説していきます。

ささげ業務とは?

「ささげ業務」は、「撮影(“さ”つえい)」「採寸(“さ”いすん)」「原稿(“げ”んこう)」の頭文字を取った一連の業務の略称です。「ささげ」とだけ呼ぶ場合もあります2005年に大手ECサイトが上記の業務を「ささげ」と呼び始めたのが元々の由来であるように、「ささげ業務」はECサイトの運営と切っても切れない関係にあります。

ECサイトは商品の魅力をユーザーに伝える際に、その商品の写真と原稿で表現しなければなりません。言わば「ささげ業務」はECサイトにおける「営業」とも言え、その出来栄え次第で売上に直結する大切な業務です。

どんなにいい商品でも写真が暗かったり、紹介文がわかりにくかったりしたらなかなか購買の決断はしにくいものです。ユーザーは販売者がかかえる実際の在庫を目にしているわけではなく、あくまでECサイトに載っている情報から、手元に届いた時の商品を想像しなければなりません。

もしあなたのECサイトの売上が振るわなかった場合、最初に見直すべきは「ささげ業務」の部分でしょう。

「ささげ業務」はあなたのECサイトの玄関と商品陳列棚、そして倉庫をよくする業務です。この重要な業務を効率化しつつ洗練させることが、このECサイト全盛期で生き残るため初めに取るべき生存戦略と言えるでしょう。

「撮影(“さ”つえい)」

まず実際の商品を使用した商品撮影、いわゆる「物撮り」と呼ばれる撮影が行われます。商品がアパレルの場合はマネキンに着せたりモデルを用意したりし、食品の場合は盛り付けてライティングして撮影します。家電やインテリアなどはモデルルームに配置されている写真を撮って実際の使用感を表現します。

撮影された画像は明度や彩度の調整をして華やかに加工します。ただし加工において大切なのは、消費者に伝えるのは商品の“正確”な情報である、という点です。撮影や加工によって写真の見栄えが良くなったとしても、実際の商品と著しく乖離していた場合、クレームや返品のリスクが高まります。あくまで商品のイメージを近づける加工であることを注意しましょう。

ECサイトで商品を購入する人の多くが、掲載されている写真で購入の判断をします。言わば商品のファーストインプレッションを司るのが「撮影」であり、ユーザーは写真をクリックして商品情報の詳細を閲覧します。特にモール出展型のECサイトである場合、同じカテゴリの他社製品と比べられることになります。

以上のことから写真の撮影は非常に重要であり、かつ慎重に行わなければなりません。スタジオで撮影された写真ばかりの商品欄の中に、スマートフォンで撮影してそのまま掲載した写真があった場合、(例えスマートフォンの撮影機能が向上しているとはいえ)見栄えは相対的に悪くなるでしょう。

もし他社の製品に比べて見栄えが悪かった場合、消費者はその商品に不安を覚えてしまうことが想像されます。「写真に力を入れていないってことはいい商品ではないのかも……」といった不安を覚えてしまうと、「とりあえずこの商品の購入はやめておこう」と、購入の候補から外されてしまうでしょう。

以上のことから「撮影」はその環境整備と業務自体にコストを割かねばならないことが容易に想像されます。専用のスタジオやカメラ機材、そしてカメラマンや実際の撮影のノウハウなど、他社と差別化されるべき要素はたくさんあります。

また消費者がその写真を閲覧する環境も考慮しなければいけません。高解像度で網羅的な写真を撮ったとしてもスマートフォンの画面では小さなサムネイルになるかも知れませんし、逆に大きなパソコンの画面では低解像度に写る場合も考えられます。その商品の写真が環境ごとにどのように扱われるかの仕様も知る必要があります。

商品によっては、「色」が重要な要素となるものがあります。例えばジュエリーやアパレルなどのファッション系の商品です。写真撮影時の光源環境や加工、写り方によって商品の色は左右されます。また、加工時のモニターの種類や設定なども影響してきます。ユーザーがECサイトで閲覧する商品の色が実際の商品のものと同じかどうかの「色合わせ」を行うことでクレームや返品を減らすことができます。

以上のようにECサイトの参入しやすさに比べ、「撮影」は比較的ハードルが高い業務であると言えるでしょう。

「採寸(“さ”いすん)」

次は「採寸」です。服など、SMLのサイズ表記があっても、商品によって実際の大きさに若干の差があります。靴なども同じ大きさのサイズを買っても、窮屈だったり、逆に大きく感じる物もあります。実際に商品を試着できる実店舗であればいいのですが、通信販売においては商品の返品交換は時間的・費用的なコストが高くなりますし、ユーザーの商品購入に対してのUXも低くなりがちです。

画像引用元:https://www.t-fashion.jp/size-guide

なので商品の詳細情報にはその寸法について詳しく掲載するのが望ましいでしょう。単純な商品の縦・横・高さの3辺の寸法に限らず、家電であれば設置面積や接地面からどれほどの余裕が必要なのか、また、配送時の大きさも採寸する必要があります。

海外の製品などは規格が違う場合も多いので、入荷の際に採寸しなおし、ユーザーにとってわかりやすい単位に置き換える必要もあるでしょう。このようなケースに限らず、採寸によって計測した情報を掲載する場合は単位や規格などは統一して表記した方がいいでしょう。

採寸によってもたらされるのは返品率の減少に限らず、ユーザーの不安の減少にも繋がります。おそらくこの商品を購入するべきなのだけれど、とある項目についてわからないことがある場合、問い合わせをするという手もありますが、多くの場合その購入をためらってしまうでしょう。なので採寸するときはまずユーザーの目線に立って、どの項目の寸法が知りたいかを考えた上で行う必要があります。

同じような商品を扱う場合、ノウハウが溜まることで寸法の採取手段も統一されてしまいがちですが、採寸する商品と従来の商品との間にどこか違う点がないかを見極めることも必要となるでしょう。

「原稿(“げ”んこう)」

最後に「原稿」です。いわゆる商品紹介のテキストのことです。

ユーザーは「撮影」された商品の写真からデザインや色合い、おおよそのサイズ感などある程度は判断できる事でしょう。しかし、写真やスペック表の数値だけでは判断できない部分(素材や手触り、使用感 etc..)も多くあります。

そのような情報を捕捉し、商品の購入の最後の一押しをするものとして「原稿」が重要になるのです。

原稿を書く際ですが、まずどのようなユーザーにアピールする文章なのかを念頭に起きましょう。そして、そのユーザーが欲しいと思う情報はどのようなものがあるのかを意識すると良いでしょう。

また、商品説明文はSEOも組み合わせて考えましょう。アピールするユーザーが決まっていれば、そのユーザーが検索で探しそうなキーワード=欲しいと思う情報となりますので、組み合わせて文章としていくことで検索で見つけやすく、わかりやすい原稿となります。

ですが情報をただ羅列しただけでは良い原稿とは言えません。例えばワインを紹介する場合ですが

  • アメリカ産、ピノノワール品種の赤ワイン。美味しく、有名ワインにも負けない品質。

と紹介されるよりも

  • この赤ワインはピノノワールという品種のブドウを醸造したものです。ピノノワールはかの有名なフランスのロマネコンティでも使われている品種です。このワインはアメリカ産ですが、プロのワイン評論家をして「カリフォルニアのロマネコンティ」と言わしめるほどの品質と味を誇っています。
  • 伝説のワインの味に挑戦した一人の醸造家の執念と感動が雫となって集まったこの赤ワインを是非ご賞味ください。

と紹介されるとより臨場感を感じる事ができるかと思います。

もちろん過剰な演出や、実際の品質と乖離した原稿はトラブルの元になります。あくまでその商品の魅力を表現したものでなければなりません。このように原稿は単なる情報ではなく、商品の魅力を引き出す大切な要素であることを理解したうえで扱う必要があります。

ささげ業務は重要……だからこそハードルが高い!?

以上を見てきたように、「売りたい商品があるからとにかく手元にある機材で写真をとって、その都度採寸して、早く出品したいから紹介文はさっと書こう」といきません。ささげ業務は通信販売の業績にかかわる大切な部分です。

そうはいっても時間的・人的なコストをかければ、費用や時間は削られますし、何より迅速な出品ができなくなります。出品が送れるという事は機会の損失であり、売上に直接影響します。

インターネットのトレンドは激しく、どの事業者も質のいいささげ業務を経て商品を出品したいものです。裏を返せば、市場全体のささげ業務の品質の向上が、参入しやすいEC業務へのハードルを高めていると言えます。

そこで重要になってくるのが、近年において業績が右肩上がりな「ささげ業務の委託・代行」なのです。

「ささげ業務の委託・代行」のメリットとデメリット

例えばフルフィルメント業者などはその代行業の中にささげ業務を含めているところがあります。商品の入荷・検品を済ませたら倉庫に併設しているスタジオで商品の「撮影」と「寸法」を行い、素早く「原稿」を用意し出品します。その上、物流も代行してもらっているのでSKUの管理から出品まで確実、かつ迅速に行えます。

このように商品にまつわる環境はスペースを確保するほど、そして機能を集約するほど効率的になります。出品と配送が迅速に行えるだけでも価値がある上に、その一連の業務のノウハウを代行業者は持っています。

よって、他の事業者と比べても遜色のないささげ業務を経て商品の販売が行えるメリットがあります。

また実店舗経営と同時にEC事業に着手する事業者も多いことが想定されます。EC事業は実店舗経営の副業で行えるほど軽い業務ではありません。特に優先される業務が日々発生している場合、新しい業務の整備は後手後手に周りがちです。自社の人員で賄う事や、新しい人員の確保に苦戦している場合、ささげ業務をアウトソーシングすることでEC事業に着手する余裕が生まれます。

デメリットとしては当然、費用がかかることですが、これは自社で環境をそろえる場合とのトレードオフなのでかえって資金効率がよくなるケースがあるかも知れません。

一方、デメリットとして、自社にささげ業務のノウハウがたまらないこと、ささげ業務の品質(物撮り等)が自社の製品とマッチしない、などが挙げられます。特にささげ業務の確認や修正などのプロセスは代行業者によって様々なので、自社の業務と波長のあう信頼できる代行業者を探す必要があることもデメリットの一つと言えるでしょう。

まとめ

デジタル・トランスフォーメーション(DX)戦略によってEC事業に着手する企業が増えてきました。そしてユーザーは、インターネットで物を買うことへの抵抗感が薄れてきています。これからはEC事業の競争もますます苛烈となっていくことが想定されます。

電子の海では情報の波が次から次へと押し寄せてきて既存の商品を押しのけます。そのスピードに対処するためにも、そして自社製品の魅力をユーザーに届けるためにも、EC事業の「ささげ業務」を重要課題として取り組み、場合によっては代行業者の選定を行う必要があるでしょう。

 

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