- 最終更新日: 2021.06.30
- 公開日:2021.06.30
続々誕生するサブスク新サービス、成功するための秘訣とは?(2)
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前回の記事では、「サブスクリプション」サービスについて、最新トピックスや成功するための秘訣など、多角的に考察してきました。今回の記事では、前回紹介した成功のための4つのポイントを含め、現在、成長を続けているサブスクリプションサービスを事例に挙げ、成功の要因に迫っていきたいと思います。
目次
近年急成長を遂げたサブスクリプションサービスを厳選
前回の記事では、サブスクサービスを成功させる4つのポイントである「お得感」「利便性」「プラスαの特典または独自のサービス」「継続してもらう工夫」について解説しました。詳細は前回の記事をみていただければと思いますが、成功している多くのサブスクサービスは、この4つのポイントをクリアしているだけでなく、さまざまな新しい取り組みを実施しています。これらの取り組みが成功のヒントになると思います。
ここで紹介する事例については、すでに多くのユーザーがいる動画・音楽配信・電子書籍などのコンテンツ系のWEBサービスや、ECサイトのサブスク型サービスを除き、物販やレンタルなどを新しい形のサブスクリプションとして、成長を遂げてきたサービスに絞って解説していきたいと思います。
airCloset・Bloomee・Laxusはなぜ成長を遂げたのか?
『airCloset(エアークローゼット)』
独自の「パーソナルスタイリング」を提供
2015年2月にスタートした女性向けの月額制ファッションレンタル『airCloset』は、(株)エアークローゼットが運営する日本初のファッションレンタルサービスで、規模も国内最大級となっています。トレンドから定番、お仕事系など、30万着のファッションアイテムから、スタイリストがコーディネートした洋服が自宅に届きます。
同社独自の『スタイリング提供システム(特許第6085017号)』には、2000万を超えるスタイリングデータ・ユーザーのフィードバックデータなどが蓄積されており、このビッグデータをもとに独自の「パーソナルスタイリング」を実施し、ユーザーに似合う洋服を提供しています。
ファッションレンタル史上初の返金保証も
プランは月額7480円(税込・3着・月1回交換)のライトプラン、1万780円(税込・3着・交換無制限)のレギュラープラン、1万4080円(税込・5着・月1回交換・サイズが3Lまで対応)のライトプラスプランの3プラン。現在(2021年6月26日時点)で全プラン共通の4100円オフクーポンをプレゼントしており、ライトプランは初月2970円からでスタイリングのお試し体験ができます。
また、提案されたファッションスタイリングが自分に合わなかった場合、代金を返金するというファッションレンタル史上初の「満足保証」制度も実施。新規での利用者が安心して取り引きできる環境を整えています。
パーソナルショッピングアプリ「pickss」を提供
関連サービスとして、プロのスタイリストからパーソナルスタイリングを受けることができるパーソナルショッピングアプリ「pickss」を提供しているほか、会員向けのポイント制度を実施するなど、独自のサービスが充実しています。
エアークローゼットはサービス開始以降、「日経優秀製品・サービス賞2015」で日経MJ優秀賞を受賞したほか、「GOOD DESIGN AWARD 」でグッドデザイン賞2015、「グッドモーニングアワード2017」で商品・サービス部門の部門賞、「2019年度ダイヤモンド経営者倶楽部特別表彰」でフロンティア・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、これまでさまざまな賞を受賞しています。
コロナ禍ではテレワークが普及したことで、アパレル業界が苦戦しているなか、エアークローゼットは登録会員数が拡大しており、20年10月の新規月額会員数は前年比307%、登録数会員数は45万人を突破しています。店舗を活用したサービスなど、さまざま分野との連携を進めているほか、ファッションレンタル専用倉庫を運用、国内デザイナーズブランドと共同制作したアイテムの発売、次々と新しい取り組みを実施しており、今後も同社の快進撃は続きそうです。
『Bloomee(ブルーミー)』
日本初の生花定期便サービス『Bloomee』の利用者が急増
『Bloomee』は(株)Crunch Styleが運営する日本初・最大級の生花定期便サービス。季節の花束が、専用の箱で保水されたフレッシュな状態で毎週届けられます。
2016年6月にサービス開始し、3年後には会員数が1.5万人を突破するなど、順調に利用者を拡大させてきました。また、全国の花屋からポストに花を届けるという日本初の試みが注目を集め、多くのマスコミでも紹介されたことなどもあり、その後も利用者が急増。これまで全国で累計10万世帯以上の会員が利用し、合計650万本以上のお花をユーザーに届けてきました。
ユーザーの80%はこれまで「花を飾る習慣なし」
料金プランは、「体験プラン」(お花3本以上)が500円/回(送料275円)、レギュラープラン(お花4本以上)が800円/回(送料385円)、プレミアムプラン(お花5本以上)が1320円/回(送料550円)となっています。法人プランもあり、こちらはオフィスの休憩所や会議室向けの「小さい3束プラン」(小さい花束プラス花瓶3つ)と、エントランス向けの「大きい1束プラン」(大きい花束1束+花瓶)の2種類があり、料金はいずれも3300円/週となっています。
同社の調査によると、ユーザーの80%以上は、今まで花を飾る習慣がなく、Bloomeeがきっかけで花のある暮らしを始めたことがわかりました。また、95%のユーザーが「Bloomeeを始めてから暮らしが豊かになった」と回答。「花を買う習慣がなかった」層の需要を掘り起こし、ユーザーに「次のお花は何かな?」「この花かわいいね!」といった期待感を抱かせるなど、生活の質向上に貢献しています。
潜在ニーズの掘り起こしに成功
また、提携している花屋の85%が「Bloomeeが安定的な収益源になっている」と回答しており、母の日などの繁忙期に売上が偏りがちで、コロナ禍で各種イベントが中止になり花の需要が減少した花屋さんを支える存在になっていました。
Bloomeeは花をよく購入している層に、お得なサービスを提供するのではなく、これまで花を飾る習慣がなかった新たな顧客層を開拓し、成長を続けています。Bloomee を運営するCrunch Styleは、元々は花のギフトECを実施していたのですが、新たなビジネスサービスを模索し、サブスクサービスにビジネスを転換させています。この過程で、ユーザーの新たなニーズを掘り起こす方向に舵を切ってサービスを開発したとのこと。花のギフトECでは苦戦していたようですが、潜在的なニーズを掘り起こすためにサブスクビジネスに転換させたことが成功のきっかけになりました。
Laxus(ラクサス)
憧れの高級ブランドバッグが使い放題
「ラクサス」は、月額6800円でルイ・ヴィトンやシャネル、エルメスなどの購入ブランドのバッグが無制限(無期限・個数無制限)に使い放題となるブランドバッグのレンタルサービスです。運営会社はラクサス・テクノロジーズ(株)。
購入したら30万円以上もするような憧れの高級ブランドバッグが何度も使い放題で、「欲しいバックが高すぎて買えない」「バッグを保管するスペースがない」といった女性の悩みを解消し、20~50代の女性を中心に利用者を拡大しています。2015年2月からサービスをスタートし、無料を含めた現在の累計会員数は45万人を突破したほか、流通総額は750億円に上り、アプリのダウンロード数は130万を突破しています。
女子会やママ会、デート、職場、合コンなどに行くときに、気軽にブランドバッグをレンタルできるサービスとして人気を集めています。
日本経済産業大臣賞など、受賞歴が多数
同社は2017年に経済産業大臣賞(最優秀賞)を受賞したほか、日本アントレプレナー大賞イノベーション部門、中国地域ニュービジネス大賞特別賞など、さまざまな賞を受賞しています。テレビや新聞などでも注目を集め、さまざまなメディアでも紹介されました。
また、同社は個人間のバッグのレンタルを仲介するCtoCのバックシェアサービス『ラクサス エックス』を2017年1月に開始。使われていないバッグを持っているユーザーがそのバッグをラクサスに預けると、ラクサスがユーザーに貸し出すことで、バッグを預けたユーザーは副収入を得ることができます。
使われずに眠る埋蔵バッグは推定3兆7957億円に
同社の調査によると、「半年以上使っていないバッグの総額」は1人あたりの平均で12万円。日本の女性人口から計算すると、日本には全国で使用されずに眠っている埋蔵バッグの総額は推定3兆7957億円に達するそうです。また、直近1年でブランドバッグを購入した人はわずか1割程度となり、バッグは買うだけでなく、借りる時代に移行していることがわかります。
ラクサスでは「シェアリングエコノミー」「サステナブル」といったキーワードが当てはまるサービスであり、高級ブランドバッグを購入する時代から、レンタルする時代に変化するきっかけを作ったサービスと言えます。この点では、潜在ニーズを掘り起こしたBloomeeと似ているかもしれません。
新たな価値の提供でサブスクサービスが成長
今回は代表的な3つのサブスクサービスについて見てきました。蓄積したビッグデータから独自の「パーソナルスタイリング」を提供している『airCloset』、これまで花を買う習慣がなかった人の新たなニーズを掘り起こした『Bloomee』、高級ブランドバッグは購入するのではなく借りるスタイルを作り上げた『ラクサス』。共通しているのは、これまでになかった新たな価値を提供していることです。
逆に言うと、これまで巷にありふれているようなサービスを単にサブスク化しただけでは、成功は難しいと言えるかもしれません。
今後も新規参入企業もあり、サブスクサービスは競争がさらに激しくなりそうですが、他社にない価値を持ち、顧客のニーズを掴んでいるサービスは継続率も高く、今後も成長を続けていきそうです。
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