千葉県発“ありがとう”の気持ちを全国に届ける産直型ECモール「ありがとねっと」。大手企業から個人事業主まで参加できる仕組みをクラウドECで実現!
株式会社ジェス
- 業種:
- 人材派遣事業、ビルメンテナンス事業
千葉県の特産物を販売する「ありがとねっと」は、同サイトを運営する株式会社ジェス様の“ありがとねっと構想”の一翼を担う産地直送型のECサイトです。
“ありがとねっと構想”とは、千葉県の産業復興を旗印に、県内の金融機関や公共団体などと連携し、県内地域の活性化を支援する同社の取り組みになります。
社会貢献としての活動の一方で、自社ビジネスの業績向上も念頭に置きながら、さまざまな施策を展開されています。
株式会社ジェスにおけるビジネスの柱は、人材派遣事業とビルメンテナンス事業。その同社がなぜ産直型ECサイトや産業復興に取り組んでいるのでしょうか。株式会社ジェスのオフィスにお邪魔して、代表取締役社長の長谷川直行様とサイト運営をご担当されているマネージャーの柳田岳明様にお話を伺ってきました。
千葉の産業復興のために異業種から参入
―― ECサイトの運営はありがとねっとが初めてということですが、まずはそのきっかけから教えてください。
長谷川直行様(以下、長谷川様) 東日本大震災やコロナ禍などを経験していくなかで、社会とのかかわりの重要性に改めて気づかされました。加えてSDGs(持続可能な開発目標)が注目されるようになり、社会貢献や地域貢献として、当社に何ができるかと検討して出した答えがECでした。当社は人材派遣とビルメンテナンスを事業の柱としていますが、特に人材派遣では物流系を得意としていますので、ECと親和性が高いだろうと考えました。
また、2019年のコロナウイルスの影響により、地域のお店が売上を落としていました。同じく生産者様も同様に影響を受けていました。千葉県には素晴らしい生産品がたくさんありますが、コロナ禍の自粛ムードでお客様にご来店いただけなくなり、ネット販路をお持ちでない生産者様も多かったため、ありがとねっとで販路拡大をしていただこうと考えました。
ありがとねっとは千葉県の産業復興が目的のため、どなたでも参加しやすいように大手ECモールよりも販売手数料をリーズナブルに設定しました。初期費用やランニングコストが無料で、加盟手続きも簡単。生産者様の負担を減らして、しっかり利益を上げていただこうという方針です。また、商品の出品から販売開始まで、事務局のスタッフが手厚くサポートします。
ちなみにECサイトはありがとねっとの一部であって、千葉県の産業復興の視点から、公共団体や金融機関との連携、農業・漁業支援、障害をお持ちの方の就労支援、学校・老健施設・医療機関支援などを視野に入れています。日本貿易振興機構(JETRO)と連携して特産品の海外展開も考えており、JETROの会員としても登録済です。
―― 社会貢献や地域貢献を掲げているとはいえ、ECサイトの運営は初めてですから、生産者様の理解を得るのは大変だったのではないですか。
長谷川様 千葉県の特産品を調べて、生産者様に連絡をして交渉する。これを一歩一歩進めてきました。当初はなかなか理解していただけませんでしたが、「生産者のこだわりを伝える」ことをコンセプトに粘り強く交渉して、徐々に店舗数が増えてきています。千葉県の特産品については、当初こそ有名な生産品を中心に交渉してきましたが、その後は新聞に掲載される新製品をチェックしたり、県内各地の観光協会と連携したりして交渉しています。
自治体との連携にも注力しており、昨年は君津市と連携して「きみつお得便フェア」を実施しました。君津市の8つの直売所で販売しているお米や野菜などの商品をありがとねっとにて送料無料でネット販売するというものです。フェアは好評につき予定より早く終了しましたが、終了後も継続してありがとねっとで販売を続けている商品も多数ございます。今後も同様の取り組みを他の自治体とも進めていきたいと考えています。
―― ありがとねっとを立ち上げるにあたり、特にこだわったポイントについて教えてください。
長谷川様 お客様が商品を選びやすいサイトであること。コンサルタントからアドバイスをいただきながら、特に商品カテゴリーの選別や商品ページの見せ方などを工夫しています。
また、千葉県に特化したサイトのため、大企業や個人事業主に関係なく、理解しやすい仕様にこだわりました。生産者様の負荷を減らすという点では、請求書を弊社側で作成し、簡単にチェックできる仕組みも構築しました。販売後は明細をチェックするだけで売上金をお支払いしています。
―― 千葉県のマスコットキャラクター「チーバくん」のグッズも、商品カテゴリーの一つなんですね。
長谷川様 千葉県の特産品を扱うのであれば、やはりチーバくんは外せません。さまざまな商品を扱うECサイトでチーバくんのグッズを買えるのは、ありがとねっとくらいかと。私は千葉県生まれ、千葉県育ちということもあって“千葉愛”が強く、千葉県の形をデザインしたチーバくんには特別な思いがあります。
「ギフト」対応が売り上げ増を加速
―― ありがとねっとは複数の生産者様が商品を出品するモール型ECサイトであり、システムには「GMOクラウドEC makeshopエンタープライズ」の「メーカー直送システム(産直システム)」をご採用いただいています。makeshopの採用に至った経緯について教えいただけますか。
長谷川様 当初は自社で開発することも考えましたが、とても多くの投資が必要になります。そこでEC構築サービスを検討することになりますが、調査していくなかで挙がったのが、実績があって機能が充実しているmakeshopでした。別件でIT系のコンサルタントに相談したときにご紹介いただいたのもmakeshopでした。ほかのサービスも検討しましたが、別々のところから名前が上がったことが決定打になったと思っています。
―― 運用開始後の状況はいかがでしょうか。
柳田岳明様(柳田様) おかげさまで売上も訪問者数も順調に伸びてきています。月間の訪問者数は数万人という規模に成長しました。
―― 売上や訪問者数が伸びた要因をどのように分析されていますか。
柳田様 サイト上に「ギフト」のバナーを置いて特設コーナーを用意したところ、「のし」は付けられるのかなどのお問い合わせをたくさんいただくようになりました。もともと千葉県の特産品を全国の方に届けたいという思いで始めましたが、当初はお客様がご自身用に購入されると想定していました。お客様からのお問い合わせによって、ギフト需要が多いことに気づきました。お客様の中には、ご自身用に購入した後に贈り物として別の方に送る方もいらっしゃいます。現在では、お歳暮やお中元の時期になると、ギフトの需要が売上の半数を超えることもあります。
長谷川様 もちろん、ECサイトを作ったから売れるということはなく、さまざまなPR施策に取り組んできました。広告展開はもちろん、地域のラジオ番組のコーナーに出演したり、ここ1年はSNSも活用しています。今一番力を入れているのはTikTokとInstagramですね。反響が大きいです。
―― 動画の編集などはどうされているのですか?
長谷川様 SNSの動画は自分で作成しています。SNSに関してはかなり勉強して、毎日情報を発信していますので、動画制作だけでなく、情報発信の方法などについてもコツがわかり、今はスムーズに運用できるようになりました。
―― ありがとねっとの運用体制について教えてください。
長谷川様 マネージャー、ディレクター、運用サポート3名の5名体制です。2023年1月で200店舗にご利用いただいていて、商品数は1100近くになります。商品の登録などは運営側で担っているため、生産者様は生産に集中できるのですが、そのぶん運営側の負荷が大きくなっています。年内には300店舗になることを想定していますので、運営側の負荷を軽減できるように、makeshopの使い勝手向上を期待しています。
地域の産業復興から日本全体を元気に
―― 今後の展開については、どのようなことをお考えですか。
長谷川様 構想から3年間、中途半端にはせず、これでもかこれでもかと取り組んできました。千葉県の産業復興としては結果が出始めていますが、まだまだ発展の途上にあります。事業としてみても、満足のいく結果にはなっていません。産業復興とはいえ、ボランティアではありませんから、そこはしっかりと結果を求めていきます。
ありがとねっとを始めたことで人脈が広がり、人材派遣事業とビルメンテナンス事業につながるお話をいただくようになりました。千葉の産業復興とともに本業も今後の業容拡大を図っていきたいと考えておりますが、まだまだ十分ではありません。
ありがとねっととしては、生産者様同士で情報交換ができるようにして、横のつながりから産業復興ができるような展開をイメージしています。同様の取り組みが各都道府県から出てきて、日本全体の復興へとつながるといいですね。また、千葉の特産品を海外に販売することにも取り組んでいきたいです。
私は感謝を表す「ありがとう」というシンプルなフレーズが大好きです。ありがとねっとによって、千葉が盛り上がり、さらには日本が盛り上がるように取り組んでいきます。
―― 千葉県の産業復興への想いを深く感じました。当社としてもサービス提供にとどまらない支援をしていきたいと思います。本日はありがとうございました。
採用された「makeshopエンタープライズ メーカー産直システム」
管理者用と出店者用の管理画面を別々に用意したマーケットプレイス型のモール構築システムです。
出店者用管理画面は出店者ごとに用意されており、商品登録や出荷処理などの操作がメーカーや生産者で実行することができます。
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