創業70周年を迎えたティアック株式会社がECサイト「ティアックストア」をリニューアル。 老舗オーディオメーカーのユーザーファーストなDtoC戦略とは
ティアック株式会社
- 業種:
- 音響機器・情報機器
高品質なオーディオやプロ向けの音響機器を製造・販売を手がけるティアック株式会社様は「TEAC」「 TASCAM」などのブランドを取り扱う「ティアックストア(https://store.teac.co.jp/)」をリニューアルオープンしました。
今回はECサイトのリニューアルオープンをした背景や目的、構築の際に意識したポイントと今後の展望などについて、ティアック株式会社 音響機器事業部 プレミアムオーディオビジネスユニット 執行役員 大島 洋 様、音響機器事業部 タスカムビジネスユニット 国内営業部 営業1課 戸張 正紘 様、音響機器事業部 タスカムビジネスユニット 国内営業部 営業1課 青木 健 様方にお話頂きました。
また開発パートナーとして今回のGMOクラウドECを活用したECサイトの導入・構築を行なって頂いた、ティアック株式会社様の連結子会社であるティアックシステムソリューションズ株式会社様にもご同席頂き、導入の課題や解決方法について伺いました。
「記録と再生」の分野における最高品質の追及
ーーまずはじめに、皆様のご紹介と、会社概要を頂いても宜しいでしょうか。
大島 洋様(以下、大島様): ティアック株式会社の執行役員として主にプレミアムオーディオビジネスユニットと呼ばれている中で主にティアックとエソテリックの音響製品の統括責任者をしております大島と申します。
戸張 正紘様(以下、戸張様):ティアックストアの販促および施策立案と輸入ブランドの担当をしております戸張と申します。
青木 健様(以下、青木様):ティアックストアの管理や実務運営などの主にシステムをさわるところの管理をしております、青木と申します。
大島様:会社についてですが、ティアック株式会社は今年2023年で創業70周年を迎えまして、所謂老舗の音響機器メーカーと言われております。ティアックという屋号を冠するブランドの他にも、TASCAM(タスカム)というプロ用・ミュージシャン用の音響機器のブランドや、ESOTERIC(エソテリック)というハイエンドの音響ブランドなどを持っております。
事業と致しましては、まずは音響機器ですね。こちらを一般のお客様向けからプロ用・ミュージシャン用まで幅広く展開しております。その他に情報機器と言わる分野で、例えば産業用のデータレコーダーですとか医療用の画像記録装置などですね、そういったものを製造・販売しております。
ーー産業用機器、しかも医療の分野にも展開しているのですね。
大島様:そうですね、割と皆様の身近なものだと思いますが、例えば胃カメラで胃のなかの画像を4Kで記録するですとか、他にも色々な内視鏡手術におきまして、体の中を鮮明に記録してお医者様の診断のツールとしてご活用頂いております。
ティアック株式会社 音響機器事業部 プレミアムオーディオビジネスユニット 執行役員
エソテリック株式会社 取締役 大島 洋様
ーーありがとうございます。続きましてECサイトのご紹介を頂いても宜しいでしょうか。
大島様:今回再開発・リニューアルをさせて頂いた訳ですが、元々のECサイトは7、8年前からHPの開発と同時に始めておりました。その中で銀行様などの弊社のステークホルダー様に対して社販を展開しようとしていた所、セキュリティーの見直しのタイミング(経済産業省が進める「EMV 3Dセキュア(3Dセキュア2.0)」の2024年度末までの義務化)が見えてきていたんですね。
また、弊社はティアックという社名ではありますが、複数のブランドを持っております。会社で持っているブランド以外にも輸入音響製品ですとかの取り扱いブランドを加えますと10以上のブランドを抱えている中で、ティアックストアではその全てのブランド・商品が混在してしまっている状況でした。お客様目線で非常に使いづらくなってしまっていて、これを機に整理しなおしたいというのが丁度重なりまして、システムを再構築するというお話になりました。
音楽が好きな人や音響に携わる人に楽しんで買い物してもらえるサイトへ
ーー今回ECサイトをリニューアルされましたが、その中で力を入れているお取り組みやECサイトの方向性などはございますでしょうか。
大島様:まずは、ECサイト・自社サイトでの売上の比率を上げていくというのが目標としてはあります。BtoC、DtoCなど直接コンシューマーへと関わる事業では、ECサイトをはじめとしたネット販売の売上の比率・重要性がかなり上がっている流れがあり、これはどこの会社様でも一緒だと思います。
その中でブランドや製品カテゴリーの違い、色やオプションの選択等、お客様の様々なニーズに対応していくという動きがございまして、ECサイトをあるべき形に更新していく、というのはある意味必須とも言える動きでした。
そして冒頭でも申し上げた通り、ティアックは10以上のブランドを取り扱いコンシューマー向けに展開しておりますが、その全てのブランドが音響とか録音とか、音に関わるブランドです。そしてどのブランドも非常にユニークで、はっきり言ってしまうと非常にニッチな面もあり、万人が分かるブランドというよりも、本当に音楽が好きな方や実際に演奏をされている方ですとか、かなり狭いセグメントに訴えるようなブランドです。
そう言ったセグメントの音楽が大好きな方々、音楽制作などに携わる方々がですね、弊社のサイトに集まって頂いて「あれもある!」「これもある!」といった形でティアックストアに来たら何でも揃うと、ワンストップで楽しんでお買い物をして頂けるようなサイトにしていくというのがチームのミッションです。
ティアック株式会社 音響機器事業部 タスカムビジネスユニット
国内営業部 営業1課 青木 健様
ーーそのような中で、GMOクラウドEC makeshopエンタープライズを選定して頂いた理由について、お聞かせいただけますでしょうか。
青木様:まずは先程の大島の話でも出ていた通り、セキュリティーの見直しのタイミングというのが1つ大きな要因でした。
その中でGMOクラウドECのmakeshopエンタープライズでは、常に機能やシステムが最新のものに自動でアップデートされる所ですとか、セキュリティの担保も非常にしっかりしていらっしゃる点が良かったです。
また、デザインの自由度が高いのも良く、ティアックストアでは自社特有のサービスというのも行なっていた為、その辺りへ融通を効かせられるというのも大きな理由となりました。
そして他社実績という意味で弊社のようなメーカー様は勿論、食品やアパレルまで多岐に渡る業界での採用実績があり、EC構築の中でも流通額No.1というのもあり安心してお願い出来ました。
ーーティアックシステムソリューションズ様(以下TSS様):導入作業時に最も苦労された事について教えて下さい。
青木様:リニューアル前のサイトでやっていたことと、リニューアルでこれからやっていきたい事、改善していきたい事とですね、実際にmakeshop エンタープライズで出来る事や実はこういう方法でこんな事もできますよというご提案が頂ける部分のすり合わせですね、所謂要件定義という所が最初は苦戦しました。
ーーTSS様:それはどのように解決されたのでしょうか。
青木様:TSSの皆様に間に入って頂いた事で、過去のストアの取り組みや運用方法についての要望を沢山汲み取って頂いて、事細かに伝えて頂いた事で解決できました。
私たちは商品や社内の運用体制については詳しいですが、システムの事は分かりません。逆にメイクショップの方々ですとシステムの事は詳しいですが、ティアックとしての取り組み内容まで細かな部分を理解頂くのは難しいです。その中でどちらにも詳しいTSSに橋渡しをして頂いた事が解決の要因ですね。
また、今回は受注システムで基幹システムへの連携をしなければいけないという所で、社内のシステムに詳しいTSSに、makeshopエンタープライズと基幹システムを繋げて頂けたというのは助かりました。
ーーTSS様:基幹システムを繋いでいるツールの方に、そのまま繋げられるものを追加したような形ですね。
戸張様:我々は複数人で受注処理をしておりましたので、複数人が管理画面にログインする形で運用が出来るような形となったのが便利ですね。また運用方法も変わらずスムーズに移行が出来たかなと。
お客様が見つけやすいようなUIとカテゴライズ
ティアック株式会社 音響機器事業部 タスカムビジネスユニット
国内営業部 営業1課 戸張 正紘様
ーーECサイトでこだわったポイントはありますでしょうか。
戸張様:今回、リニューアルに合わせて製品種別と活用シチュエーションでの2軸を中心として商品をカテゴライズしまして、お客様が欲しい商品へと早く簡単に辿り着けるようなUIを構築して頂きました。その際にはちょっと色々無理をお願いする事もあったのですが、そこは最後まで妥協せずにどこまでできるかというのをすり合わせて、こだわり抜いたポイントになりますね。
後はSNSをティアックストアのアカウントでやっていましたので、様々なSNSで宣伝がしやすいような設定をして頂いたりですとか、こちらにあるオーディオルームで行う体験型のイベントをストアと連動して、ロイヤリティの高い集客をしていくという仕組みですね。
青木様:体験型のイベントでは、こちらの本社があまり都心ではないと言った点でわざわざ足を運んでくださる方、製品に興味を持って頂いているという方になりますので、そのような方々にECの方も見て頂いて、さらに合う商品やお勧めできる商品を提案させて頂いて満足度の高い体験、UXを高めていく事にこだわっております。
ーー音響・オーディオ製品のEC販売ならではの課題やその解決方法はございますか。
戸張様:はい、商品の見た目だけで言ってしまえば正直「四角い箱」でして、勿論それぞれ機能の違いや向いている環境など特徴があります。その為、体験型のイベントの際には実際に普段から聞いている音源をお持ち頂くことで、聞き慣れているもので比べて頂く事が出来ます。
青木様:また、オンラインショップの会員様限定ではありますが、商品をレンタルする事も出来ますのでご自宅の環境の中で商品をお試し頂く事が出来るような仕組みというのもやらせて頂いております。
戸張様:音響・オーディオ製品というのは、部屋の広さや機器毎の相性などがありますので、やはり実際に今お使いの環境・製品の中での組み合わせで試してみて頂く、新製品もその中で違いを実感してみて頂きたいという事でレンタルは行わせて頂いております。
購買率の向上と直感的な操作が出来る管理画面に
ーーリニューアル後に実際運用してみてのご感想はありますでしょうか。
戸張様:今までは非会員では購入できず、会員登録をして頂かないと買えないシステムだったので、リニューアルで非会員でも購入できるようになってから購買率が大きく改善しました。
また、管理画面については新管理画面の方をよく使わせて頂いているのですが、すごい直感的で使いやすいなというのが感想です。
大島様:売上については大きな動きがありました。パンデミックの頃は正直な話、何もしなくともECサイトでは売れていたのですが、収束後からは一気に落ち込んでしまってこれは何とかしないといけないという危機感がある中でのリニューアルですね。それで6月にリニューアルオープンをしまして、7月はまだ色々混乱もあったのですが、8〜10月とここ直近の3ヶ月は見違えるような売上に成長しています。
ECサイト限定の商品を開発して貰ったりですとか、お客様がお買い物をしやすい動線の改善ですとか今日の2人には頑張って貰っていまして、全体的な売上が底上げされていまして、本当に楽しいという状況ですね。
ーー今回、決済システムは色々と導入頂きましたが、反響はありましたでしょうか。
戸張様:はい、昔はクレジットカードと代引き、ショッピングローンのみの対応でしたが、リニューアルから色々な決済方法に対応させて頂いておりまして、非常に捗っております。Amazon Payについては導入のお知らせを出した途端にAmazonユーザーのログインが一気に来まして、注文も増えました。ですので、やはり潜在的なニーズが非常に多かったのかなと感じますね。
ーーTSS様:今後、期待する事などはありますでしょうか。
青木様:まだリニューアルして半年程ですが、今後色々とやってみたいことが出てくるかと思います。機能もmakeshopエンタープライズでは色々ありますので、使ってみるという点でもですね。そのような時に基幹システムとの連携をしたいといった際ですとか運用についてTSS様には是非ご相談をさせて頂けますと助かります。
ーー今後の展望についてはいかがでしょうか。
大島様:経営目線から言いますとECサイトでの売上比率の更なる向上ですね。ただし、これはバランスの問題で100%にしていくという事でなく、お客様の利便性やニーズにお応えする形で、店舗やECサイトを含めた全体の売上とのバランスを取りながら達成していくのが目標です。
ECサイトでの売上比率はリニューアルしてからは大きく伸びましたが、将来的には今の3倍を目指していきたいですね。
うまく調整しながら何年かかっても、痒い所に手が届くような仕掛けなんかも入れる事で独自性を持って、利用してくれる人が楽しいサイト、音楽好きな人の期待に応えられるようなサイトへとしていきたいです。
ティアックストアについて
ティアック株式会社が運営する公式オンラインストア。TEAC、TASCAMの自社ブランドをはじめ、PIONEER、ONKYO、KLIPSCH、TANNOY、dBTechnologies、DRAWMER等、オーディオ製品からプロ機器まで幅広く取り揃えており、延長保証や商品レンタルなどのサービスも充実しています。
GMOクラウドECについて
GMOクラウドECはフルオーダーによる構築へと対応した最新のECプラットフォームです。ヘッドレスコマースの採用により、自由なシステムの構築が可能となっています。その為、パッケージでは対応しきれない要件へもお応えする事が可能です。そしてEC本体のシステムとセキュリティは自動でアップデートされる為、フルスクラッチ構築の課題であるシステムの老朽化・陳腐化といった問題も解決しています。